【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

  ダイヤモンド・ダスト


・寒波来る空に国境なかりけり  喜の字
▼上手い!思わず膝を叩いてしまう大きな句である。作者は敬愛するコピーライターの大先輩、本名守田修治氏。確かになぁ、シベリアの冬将軍は人間が設定した国境線なんてのをいとも簡単に超えて進軍してくる。
▼2月中旬。この秀句のような日常が戻ってきた。北海道東沖に低気圧が鳥の巣のように居を構え、日本海側にはシベリアから次から次へと低気圧が進軍する。札幌の天気予報はこの先一週間、雪だるまマークである。

(直線距離で40kmほどの阿寒富士と雌阿寒岳。ダイアモンド・ダストがよく見られるという。11年1月20日撮影)
▼2月12日、7:07AM。−20℃。寒い!ただし晴れ!ウレシイことに太陽が出ると「光の春」となる。今日は真冬日脱出なるか…と、澄みきった空気のアチラコチラで光の粒子が弾けるような光景が眼を射た。まるでμのガラス片がキラキラ宙を舞ってるようだ。
▼「ダイヤモンド・ダストだ!」。辞典には『太陽の光でキラキラ輝く細氷(さいひょう)。寒冷地、晴天の日、気温零下15度以下、無風で湿度の高い時、空気中の水蒸気が細氷となって浮遊する現象。日を受けて金色や虹色に輝く』とある。

(写真は一昨々日。活火山雌阿寒岳は今日も噴煙を上げてる。靄ってるのは春が近づいてるせいか)
▼「けどいまは9:40AM。−10℃」定義とは外れてる。「今回で2度目だけど、これってホントにダイヤモンド・ダストなんかいナ?そう言えば前回もそうだった…」まぁ、例外もあるのかもしれない。気象に国境はないんだから。
▼ともかくシャッターを押す。が、どうしても写らない。そりゃそうだ、ダイヤモンド・ダストは微小、短命、精緻な自然現象だ。動画ならともかく静止画じゃムリだ。クヤシイが諦めた。だが換わりの写真ってあったかいナ…。
▼とりあえず雌阿寒岳の写真をアップロードするかぁ。これなら、大先輩の秀句にも何とか耐えられるかもしれない…。