【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

  コラボレーション!

その音はまるで地を駈ける羆の咆哮のようでもあり、時には吹きすさぶ烈風のようでもあった。
アイヌの民族楽器、ムックリの音である。切り身を入れた竹を口に咥え、糸を引っ張りながら音を出す。口琴の一種で、口の格好を変化させることによって、いろいろな音を出すことができる。

3週間程前、塘路(とうろ)の友人からハガキが来た。タイトルには「ゲルで遊ぼう」とあった。「ナンノコッチャ?」。そういえば、標茶(しべちゃ)の友人からも連絡があったなあ。
よく読むと、モンゴル遊牧民のハウス「ゲル」を組み立て、民族音楽コンサートを開催、モンゴルの馬頭琴アイヌの古式舞踊、民族楽器も楽しめる。即、参加を決めた。

当日は雨の予報だった。会場は室内に移されていた。ステージの後に急遽紙で作ったゲルの入り口がセットされてる。
コンサートが始まった。ムックリ奏者が音を奏で始める。目を瞑ると道東の山並みや、そこを渡る風、ゆったりと流れる川などが映像として浮かんでくる。
カムイに感謝を捧げる古式舞踊も堪能した。

突然、ホルンのような長い楽器が出てきた。これもアイヌの楽器なのか?と思ったのは大間違い。後で聞くと、アボリジニの楽器「リジュリデュ」ということだった。舞台はアイヌから、一気に南半球へと飛んだのだった。
この「リジュリデュ」もスゴイ楽器だ。息と口の中だけでベースのようなリズムや大地の振動音、さらには尾骶骨に届く音を出す。

ステージは次から次へと変わった。ギター、なぜか民族音楽に合わせたタップダンス。そして圧巻が馬頭琴だった。
馬頭琴の奏者は1人2声、つまり1人で高低2つの声の歌声を聞かせてくれた。なぜそんなことが可能なのか?奏者は言った。「声を出すだけなら意外と簡単なんです」
それにしても世の中にはフシギな楽器が多い。しかもそれらを演奏する手だれが多い。

実は抽選会でベトナムの鼻笛が当たった。文字通り鼻で吹く笛だ。いま、音を出せるように練習を重ねてる。自在に音が出せるようになったら、ハワイアンで使うつもりでいる。
ともかく音楽、というより音は、ヒトを簡単にコラボレーション(共同作業、共同制作)させる。どうしてなんだろう。その法則を知りたいものである。もしそれが分ったら、紛争は多少なりとも少なくなるかも知れない。