【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

地力!

「力」の時代である。
「労働力」「政治力」「原子力」は言うに及ばず、最近では「老人力」「人間力」、果ては「芸力」「酒蔵力」なども頻繁に使われるようになった。
この分じゃ名詞に「力」さえ付ければ、何でもOKということになりかねない。
「力」の氾濫である。
「力」を英語で言えばさしずめ“Power”だが、英語には「物理的な力」を表す“Force"や、「肉体的・精神的な強さ」を表す“Strength”もあり、情況によって使い分けるらしい。

老人力」は“Power”か?“Force”か?“Strength”か?
個人的にはこの手の「力」をエネルギーと捉えることにした。そうすればあらゆるものはエネルギーを有するから、何にでも使うことができえる。
「蝶力」や「樹力」でもOKである。
その「樹力」だが、一週間前からミヤマザクラの紅葉が始まった。「まさか!まだ7月だぜ」。でも阿寒は、平年の3倍の降雨量、日照時間は3割という異常気象だ。「紅葉が始まっても可笑しくない」。異常を感じ取るミヤマザクラの「樹力」に感心した。
ところが、である。標茶(しべちゃ)の友人のブログを覗いたら、同じ風景が写真に載ってる!彼も、「ワッ、紅葉だ!」と思ったらしい。が、続く文章にはこう記されていた。
『突然の紅葉は天候とは何の関係ないものであった。枝の根元が何かのトラブル(傷や悪性の菌など)で先まで栄養がいかなくなったために起こったもの。つまり葉が正常な光合成の機能が果たせず、枯れてしまったのである』
植物に詳しい学芸員に取材した結果である。
彼も思い違いを恥じてたが、取材をしたところがエライ!コチラはトンデモナイ勘違いを書くところだった。
たがお陰様で「地力」に関係することがわかった。粘土質の土は木の根の発達を妨げる。
ことに長雨などが続くと、粘土の保水性が樹木の根腐れを起こさせる。
とすれば、この長雨が「根力」を衰えさせたとも推測できる。太そうに見えても「樹力」は、意外に繊細なんである。
義弟が育てたイチゴを持ってきてくれた。土を起こし、肥料と水ををやり、丹精こめて育てたイチゴだ。「土の手入れと愛情が大切だ」彼は言った。要するに「地力」と「愛情力」が大切、ということだ。
さて、「地力」は(ジリキ)か?(チリョク)か?(ジリキ)なら「自力」に繋がるし、(チリョク)なら「知力」に繋がる。何れにせよ、「地力」は人間がもともと持ってる力、さらに言えば、人間が成長する上で欠かせないエネルギーと言っていいだろう。それは、実は土に端を発するのかもしれない。
皆さんどう読まれます?