【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 “五感を鋭くする!”

自然に囲まれて暮らしてると、五感が鋭くなると言われる。
あまり意識したことはなかったが、どうやら五感、ことに嗅覚の方は勝手に鋭くなっちゃったらしい。林の中にもいろいろな匂いのあることを感じられるようになった。「鼻が利く」ようになったのである。
これは便利この上ない。究極の「大地の恵み」、キノコ狩りには最大の武器となる。
林に入る。下草を掻き分けて進む。すると、ほのかにキノコの香りがする場所がある。辺りの樹木を見極めて、周辺の根元を丹念に見る。すると「あった!大株だ!」。同行してた義弟が驚く。「目が利くなぁ」。いや目じゃない、図鑑の知識と、“鼻”なんだ!
で、採ってきたのがハタケシメジ。地下に埋まった木材などから菌が出る。シャキシャキした歯ざわり、鍋物との相性は抜群だ。
近くに妙な株があった。「とりあえず持って帰るか?」
図鑑で知らべてみたら、「そうだ、ハナビラタケだった!」。直径15cm、大柄で花びら状態、いかにも毒っぽいがこれも食・可。針葉樹の根元に出る。「持ってきてよかった!」
かつて、わがキノコ師匠は「キノコは植物じゃない、動物だ。なぜなら菌だからだ」と言った。「動物のように動き回る!」。
これはシャレだと言うことが後でわかったが、陽射しの加減によっては、実際動くように見えることもある。
食・可なモノと、毒のモノと。地域によって亜種や変形種、さらにはモドキなども一杯あって、いまだにどれくらいの菌があるのか分らない。まるで、人間の社会のようで、実に奥が深い。一度ハマルとなかなか正常人には戻れない。
今夜は、ハタケシメジマツタケのように焼いて食べよう。ハナビラタケは明日の味噌汁の具に。
いやぁ、ご馳走様でした。林の神サマありがとう。
しっかし、ビジネス上ではどうしてこうした「鼻が利かぬ」のか?五感を研ぎ澄ましてないせいかもしれぬ。来し方、反省しても遅きに失してるが、今後だって必要かもしれぬ。せいぜい五感磨きに精を出さねば。