【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

農力アップ、脳力アップ、能力アップ!

農の時代である。こんな時代に、遠いとはいえ親戚に農家をもつことはラッキー以外の何ものでもない。
義弟から電話がかかってきた。「標茶(しべちゃ)のアニキがダイコン取りに来いとさ。夜、行けるかい?」。そりゃ、勿論行くさ。
標茶は車で1時間15分ほどの所にある。
義弟と一緒にセ・リーグ優勝決定戦をカーラジオで聞きながら、一目散に走った。
「洗ってあるのが170本、ドロつきが130本、今年は去年より太いべさ」。着くと標茶のアニキは誇らしげに言った。積み込みは懐中電灯での作業になった。「ジャガイモはことしゃ、まったくダメだけど、持ってくかい?」勿論です、アニキ。
さいわい日本シリーズは、日ハムと巨人に決まりそうだ。これならどちらが勝ってもいい。シカシチューやジャガバターで一杯飲りながら落ち着いて観戦できそうだ。

翌日は義弟の家で、朝8時からの作業となった。タクアン漬けのための大根干だ。もう4回目なのに、結び方を忘れてる。何て悪い頭なんだろう、ヒモとか帯とかを結ぶ形態認知がまるでダメなのだ。脳には、いろんなタイプの脳力が必要なことを痛感せざるを得ない。
義弟に何度も指導されてようやく理解できた。
作業は3時間ほどで終った。腕が痛い。「大根干やる家も減っちゃった。そりゃそうだ、買った方がラクだもん」義弟は深い溜息をついた。
午後、家に戻って近所に大根のおすそ分け。明日の朝食はどこの家も大根の味噌汁だろう。
「ドロつきは、新聞紙を掛けて畑に埋めておけよ、シバレても12月ぐらいまでは“ス”が入らねからね」。
義弟の指導どおりに穴を掘って新聞紙を掛け、畑に埋めた。「う〜ん、農家の気分」。
どうやら適応能力はそれなりについたらしい。だが、脳力の方はどうか?結び方をカラダで覚えていられるだろうか、自信がない。
一番シンパイなのは日本の農力だ。戸別所得保障制度でいいんだろうか?政府は日本、及び農業をどう位置づけようとしてるんだろうか?
とりあえず冬籠りの準備のひとつは終った。
来年は個人でいえば、脳力アップ、能力アップが求められる年、国でいえば農力アップの年になりそうだ。トリプル・アップの年である。
鳩山首相じゃないが、「一緒にやろうじゃありませんか、皆さん!」