【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 「獣道(けもの道)!」

3回連続、「道」の話である。今回は「人の道」にあらず、「獣道」の話だ。

広辞苑には「獣道」(けものみち)は、鹿・猪などの通行で自然につけられた道、とある。
巷には極道(ごくどう)などを、「人の道」を外れた「獣道」と揶揄する向きもあるが、実は「獣道」は「正道」、「人の道」より遥かに前に拓かれた道だったワケである。
「人道」は、「獣道」を「人が通る道」として整備してきたに過ぎない、と言っても過言じゃない。
東海道も、♪箱根の山は天下の検♪と謳われた箱根街道も先史を辿れば、実は「獣道」だったのだ。
阿寒に暮らしていると、そうした光景に頻繁にぶつかる。
・雪原に生命の道の記さるる

雪はいろいろな生命の痕跡を残してくれる。写真は雪原に残された「獣道」である。人間がつけた足跡のように思えるが、足跡を残したのは多分間違いなく、エゾジカである。
一頭じゃない。恐らくオスが先導して水を飲みに行ったと推測できる。ご一行様は、バンビを含め10頭は超えていたんだろう!観察に慣れると、そういうことも想像できるようになってくる。
だが、不可解な「獣道」もある。これはなんなんだろう?スピードを感じさせる「獣道」だ。もしかしたら、オスが単独行動で、ハンターに追われた姿かも知れない。

雪は、いろいろな生き物の人生を足跡で見せてくれる。エゾシカ、キタキツネ、タンチョウ、ノウサギ、ノライヌ、ノラネコ、カラス、トビ・・。
その意味で、雪は迷惑でもあり、ありがたくもある。人が気付かぬところで如何に多様な動物が生きてるかを視覚的に実感させてくれるからだ。ああ、世の中ホリスティック!(世の中みんなつながってる)
忘れ去られたような自然との連帯感を、思い出させてくれるのという部分では、雪に感謝をしてもいい。