【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 樹を見る目!

「今年もダメダナァ、成ってねえわ」
数日前、オトーサンはそう言ってたけど、一応確認だけしてみよう。いや、コクワ(猿梨)の実のことである。以前は物凄い量の実りがあったという。
コクワの樹の下から目を凝らして見上げる。確かにそれらしきものは全く見えない。樹の周りを回りながら、何度も見上げる。やっぱり見つからない。「今年も駄目かぁ」諦めかけた時、何枚も重なった葉の陰にチョコンと顔を覗かせてる丸い頭に気がついた。

「あった!ついに見っけた!」コクワの実である。見つけてみるとコクワ独特の甘酸っぱい香りがそこはかとなく漂ってるような気がする。どうやら何本もある蔓のうち、一本だけに実が付いているようだった。
結局、オトーサンも自分も見る目がなかったと言うことだ。
そういえば昔から「人を見る目がない」といろんな人に言われ続けてきた。
「人を見る目」、「機を見る目」がなかったのは確かだけど、今度は「樹を見る目がない」だとは・・。
おまけに、コクワのジャムづくりも見事に失敗した。コチラは「モノを見る目」がないということか。「見る目がない」ことに気付いた一週間になっちゃった。