【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

小さき隣人、エゾシマリス!

「あれッ、あんなところにキノコ生えてたっけか?」
ハコヤナギの幹の中間に黄色いヤナギマツタケを見つけた。よく見ると下段にももうひとつ生えている。「いつの間に生えたんだろう?」
と、少し動いたような気がした。「キノコは動物だ!」が持論だが、目に見えて移動するキノコは見た事がない。しかしながら下段のヤナギマツタケは確かに上へパッと移動した。「?????」
何はともあれ、押っ取り刀で表に出る。カメラの望遠レンズを覗いてみる。と、アップになったのは何と、キノコ色したシマリスだった。隣人から居るとは聞いていたけど、初めての体験だ。ラッキー!
シマリスは二匹居た。カップルのようだ。ソロリ、ソロリ、と近寄るが逃げる気配がない。距離3mほど、少しずつアップの写真が撮れ始めた。体長12cmくらい、尻尾は15cmくらい。

それにしても何でこうも人を恐れないんだろう?フラッシュを焚こうが、一歩踏み出そうが、我関せずだ。哀しいかな、シマリスの生態に関する知識はゼロだ。10分ほど撮り続けて、家へ戻った。早速事典を引いてみる。
どうやら、このシマリスは「エゾシマリス」のようだった。
近づく冬の食糧確保のために、異常繁殖しているキノコと胡桃の実を食べに来たみたいだった。時折は繁殖行動らしきものも見せていた。巣穴が近くにあるのだろうか?

威嚇や警戒時には、尻尾を振るモビングという動作をするようだが、今日は一切それもなかった。冬を迎えることが一大事なのか、それとも隣人として上手くやっていこうと思ってるのか、表情からは分らない。
ただ、相当大胆な性格の持ち主のようで、手から餌を食べるようにもなるらしい。
事典の中に気になる一節を見つけた。「北海道では大陸から移動してきたチョウセンシマリスと、固有種のエゾシマリスの交雑が心配されている」。
因みに名古屋ではいま、生物多様性を議論する「COP10」が開催されている。生物多様性における交雑の問題は、どう理解したらいいのだろうか?