【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 還暦硬貨・還暦効果!

雪の轍の中に何かが赤く光ってる。堅い雪から穿り出すと、赤銅色のコインのようなものだった。ひっくり返してみる。十円の文字が刻印されてた。
確か小学校2年の寒中休み中だったから、1952年(昭和27年)のことである。
何だか分からなかったので、家へ持ち帰って母親と中学生の姉に見せた。二人とも怪しんだ。「『原山銅店』が造ったものかもしれない」。

(ウチにあった133枚中、イチバン古かった昭和40年製10円銅貨)
ウチの2軒隣には、当時「アカ」と呼ばれた銅線を販売してる店があった。母娘の協議の末、『原山銅店』に持ち込んだら、「これは新しく出た10円銅貨だ!」と言われた。「まだ珍しい」。
何だか宝物を見つけたようにウレシかったのを鮮明に記憶してる。

(どちらがオモテで、どちらがウラか、さて、どっちなんだろう・・?)
10円銅貨の発行は1951年(昭和26年)、誕生から60年(つまり還暦)を迎えたことになる。飴を買ったり、公衆電話を掛けたり、銭湯に行ったり・・・ずいぶんお世話になった。ある意味で、高度経済成長期の暮らしを見てきた生き証人と言っていい。
だが、最近はピーク時よりも大分少ない量しか造られてないらしい。と言うより、カード化などの取引形態の変化により、一時より現金自体の流通量が少なくなってるのだそうだ。

(イチバン新しいのは平成22年製造だった。銅の色がまだ浅く、貫禄がない)
貨幣は、物々交換を簡素化して文明を変えた。カードはその貨幣を不必要にしちゃうんだろうか?
還暦を迎えた十円銅貨は、そんなことを問うてるような気もする。
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