【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

ピジン化!

▼「ミー・ノー・グッド・ツデー・ヨ」とか「ユー・カム・ヒヤー・ツモロー・オーケー・ネ」などと、日本人がアメリカ人に向かってたどたどしく話すのを聞いた人も多いだろう。
▼このように、違う言語を話す集団が接触する際、コミュニケーションの効率や学びやすいことから、新しい言語が話しはじめられることがある。それを言語のピジン化と言う。和製英語などはその最たる例だ。
ピジンの有名な例としては、今世紀初頭までノルウェー沖で操業するロシア人漁民とノルウェー人漁民の間で話されていたルソノースク語。また、中国南部で話されていたチャイニーズ・ピジン・イングリッシュなどがある。つまり、ここには言語体系の別な人々の濃厚な交流があったことになるわけだ。

▼2月中旬、道東の標津(しべつ)付近に用事があって出かけた。写真は、野付半島の近く、尾岱沼(オダイトー)から見た国後島である。わずか20kmほどの海を隔てたこの島の白い屋根がクッキリと見えた。いまはロシアが実効支配を強めているが、かつては日本の領土だった島である。北方四島に住んでいた人々は臍を噛みながら、島を見て暮らしている。
▼ロシア人たちはやたらに「二エット!」(ノー!)を連発する。だが、もしこの島の現住民と元住民の間に言葉のピジン化が起こるとすればすごいことになるだろう。「二エット・ノー・ネ、ナカヨク・オーケー・ネ」
だが、その希望がかなえられることは殆どないだろう。あのプーチン様が大統領になって戻ってくる…。