【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

「ばんえい競馬考1」!

▼日本で生息する最大の肉食獣は北海道に棲むヒグマである。これまで確認された最大の個体は、体重520kg、体長は2.1mと言われる。
▼だが、北海道にはヒグマよりはるかに巨大な動物がいる。体重1.2t、体高(肩までの高さ)1.8m。数字から見ればヒグマの倍以上だ。だがコチラの動物は獰猛なヒグマと違って、極めて大人しい。そう、北海道がつくり出した「ばん馬」。荷役馬である。

▼「ばん馬」がなぜここまで大きくなったのか?それには北海道の開拓の歴史が濃密に絡んでる。
明治以降、北海道は軍馬の一大産地になった。さらに、農耕馬の生産地としても繁栄する。広い土地、作物が育たない極寒の地、さらには開墾の需要…。馬産地としてはうってつけだったんだろうなぁ、と勝手に想像してる。

▼生産農家の間で「我が家の馬自慢」が始まるのは当然である。産業馬としての需要が強かった重種馬が注目され、フランスのボルトン種やアメリカのベルジャン種などの大型種牡馬が輸入される。
より強く、より力のある「ばん馬」めざして混血、交雑が盛んに行われ、力自慢はやがて「ばんえい競馬」へと繋がって行った。
▼3月25日、帯広の「ばんえい競馬場」で「第44回ばんえい記念」重賞レースが行われた。中央競馬で言えば「有馬記念」のようなものだという。

▼4000人もの観客が集まった。若いカップル、子供連れ、報道陣…無論、オジサン、オバサンも負けちゃいない。だが、普通の競馬場で見られるような殺気だった気配はまるで感じられない。
何だか遊園地みたいな雰囲気なのである。そこには、家族の一員としての馬、巨大なペットとしての馬を囲む、人馬一体の暖かい空間があった。
▼馬の名前にもその暖かな目は注がれている。不肖ワタクシが最初に買った馬券は、「ヨコヅナ」と「オレワカツ」だった。そして「ヨコヅナ」は1着になった。
▼世界でたったひとつしかない「ばんえい競馬」…「確かにこれは北海道が誇るべき文化だ!う〜む、一回じゃ書ききれない!」
と言うわけで、何回かに分けて書くことにしました。なぜかハマっちまったのです。うるさいでしょうがぜひ、お付き合いください。