【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 オーロラ温泉!

国道274号を走っていた時、その温泉の看板を見たのはもう2年近く前のことだ。「オーロラ温泉」。何と美しいネーミングだ!一泊すれば露天風呂から星々の語らいを聞くことができそうだ。だが、その時は温泉に通ずるゲートが閉ざされていた。「源泉工事中につきただ今閉鎖しております」の断り書きがあった。

▼ずっと気になってたが、聞けば今は営業中だという。で、標茶(しべちゃ)からの帰りに覗いてみることにした。
▼私道のゲートは開いてた。霧雨の中、悪路を登ること約2km。下りに入って突然、前方が開けるとそこに「オーロラ温泉」はあった。いくつものコテージと牛舎みたいな建物が並んでる。常連客も結構いるらしい。
▼受付に行くと「大露天風呂はただ今工事中ですが…」と言われた。ここまで登ってきて「それじゃ結構!」というわけにもいかん。で、入湯料¥400を支払うと風呂の説明をしてくれた。200mほど下にあるのだという。「道の端に寄らないで駐車してください」という。「端に寄ると、車が埋もれる心配があります」。かなり命がけの入浴になりそうだ…。

▼男風呂は小さかった。プレハブの建物の中に岩風呂風に仕立ててある。薄い色のモール温泉。泉質と効能は書き写すのをうっかり忘れてしまった。さらに、浴槽の撮影は湯気のためレンズが曇って写らなかった。せっかくの温泉なのになんだか落ち着けない!
▼暫くして、落ち着けない理由に気がついた。「オーロラ温泉」のネーミングイメージがあまりにも強かったせいだ。星々との語らいなどイメージしなければ、サバイバル温泉として結構楽しめたのかもしれない。
▼いやはや、人間とは厄介な生き物だ。一旦固めてしまったイメージを自分ではなかなか崩せないものらしい。そこに改めて気がついた。