【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

大陸分裂!

▼少年は、地理の授業が大好きだった。教室の壁に貼られたメルカトール図法世界地図は、いつも中学一年の少年を夢想の旅に誘ってくれた。

(マグマが空にあるような夕焼け。コチラヘ向かってくる鳥は…多分カラスだ)
▼夢想の旅が突然、地球形成の旅にワープしたのは、秋のある午後のことである。少年は、南アメリカ大陸の東部とアフリカ大陸の西海岸の地形が、紙を引きちぎったみたいに酷似しているのに気がついた。
▼「もしかしたら…南アメリカとアフリカは、元は一緒の大陸だったのかもしれない!」大発見だった。「そう言えば紅海も、ペルシャ湾も、お互いに引き裂かれた跡みたいだし、陸地は動いてるんだ!」
▼少年は後に、それが1912年に発表されたアルフレート・ヴェゲナーの「大陸移動説」であるでことを知り、プレートテクトニクス理論だということを知った。引き裂かれた元の大陸が「パンゲア大陸」であることもその時知った。

(地球の裂け目、マグマの地底を覗いているような錯覚に陥った。もっとも天国へのゲートのようにも思える)
▼「パンゲア大陸」が鍋の中のオジヤのように、現在のユーラシアである「ローラシア大陸」、オーストラリアや南極大陸である「ゴンドワナ大陸」へ分裂を始めたのは今から1億8千万年ほど前、恐竜が繁栄してたジュラ紀である。恐竜たちが地球を闊歩してた頃、陸地は内部からゆっくりと動いてた!そしていまも動いてる…。
▼個人としては偉大な発見をしてから56年、年老いたかつての少年は未だにあの気づきの瞬間を忘れてない。核融合のような目も眩む瞬間は、忘れようがない。そして、秋の荘厳な景色を見た時、例えば夕焼けや全山燃える紅葉の渓谷などに遭遇した時には、その記憶はことに強烈に蘇る。しかし、一体なぜ秋にあの瞬間の蘇ることが多いんだろう?よく分らない…。