【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

「オラチ」と「オランチ」

※順ちゃんは、今年89歳になる。昨年11月と今年4月、2回にわたって危篤状態から奇跡的に蘇った鉄の女だ。鉄の女は、信州・小布施弁の持つ微妙なニュアンスを微妙に使い分ける数少ない正統継承者でもある。
※例えば「オラチ」と「オランチ」。そう、ご推察のように「オラ」は、「オレ」のこと。だから「オラチ」と「オランチ」は小布施弁では両方とも、「オレのウチ」ということになる。ただ話す相手によって変化する。

(写真は4年前の物だが、今年もいま木蓮の花が真っ盛りだ)
※対等な相手と話すときは『「オラチ」へ遊びに来いや!』となり、ちょっと目上や初めての人に対しては『「オランチ」へ遊びに来てくんない!」となる。正調小布施弁には、こんな微妙な使い分けがゴロゴロしていて、長く住んだ者でなくちゃ、なかなか使い分けられない。

(小布施町内造り酒屋「松葉屋」のレンガ造りの煙突)
※順ちゃんは医師も“奇跡”というほどの圧倒的な回復力を見せて退院した。順ちゃんは自宅のベッド上で大声で言う。「牛乳、チビタ過ぎる(冷たすぎる)だんか!」「お粥、ノフテくて(暖かくて)うんめや〜!」また、こんなことも言う。「オラ、ちっとも死まんね(死ねない)で、困るぅ・・・」
※こんな時、耳のそばで大声で応えてやるには、標準語じゃ役割不足だ。微妙なニュアンスも伝わらない。で、思わず何十年も使ってなかった小布施弁で応えることになる。そしてそれが体質化してきた。
2週間も続くと数少ない小布施弁正統継承者になりそうな気がしてきた。う〜む、まぁ、それもいいかも・・・。