【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

“郷土愛の素”!

※順ちゃんの葬儀は盛大だった。7人並んだおっしゃん(和尚さん)の読経がなかなかのハーモニーを醸し出す。まるでキリスト教聖歌隊みたい…。時々鐘の音も入り、やはり宗教は音楽である。
※本堂をリンゴやモモなどの果樹園からの風がサワサワと抜ける。豊饒な時間。おっしゃん達の読経と風に乗って、順ちゃんは満足しながら彼岸に渡ったことだろう。会葬者は400人に達し、ひとつの時代が終わった。

(北海道ガーデン街道のひとつ“ゆにガーデン”にあったスモークツリー。「風土」は充分にある)
※従来から“郷土愛の素”は、2つだと規定していた。言うまでもなく、気象、歴史、地形、文化など全てを含んだ「風土」と「友人・知人」だ。が、今回、そのほかにもうひとつ“素”があると気が付いた。「方言」である。
※「じぇ じぇ、じぇ!」が、多くの視聴者の心をつかみ一世を風靡してるのはその証明と思えてきた。そういえばかつて、映画「仁義なき戦い」の中で、広島弁が一世を風靡したこともあった。

(“風のガーデン”じゃ8月上旬なのにススキが咲いてた。「これが北海道!」とでも言いたそうだった)
※「風土」「友人・知人」「方言」…この3要素が、捏ねられ、かき回され、混ぜ合わされ…やがて、都会じゃ失われちまった郷土愛が発酵していく。そんなことを思わされた読経の時間だった。
※北海道は、都道府県別で最も郷土愛が深い自治体とされる。「県外転出者のパーセンテージが最少」と言うのがその理由だ。だがこれが、どうも消極的な郷土愛の匂いが濃いような気がする。そこが「なまら」気になるんである。