【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

69歳、初体験!

※「あと10分、1時半になったら上がろう」同行者に声をかけた。「そうしましょう、今日はもう結構な釣果が出たから満足です。家族4人分、明日の夕飯のおかず分までありますよ」じゃぁ、もうひと流しかふた流しだな。
※フワッと目印が止まった。流れの中で揉まれてるようだ。「いやぁ、やっちまったナァ。最後の最後に根ガカリ(底石や倒木などの障害物に針が掛ってしまうこと)かい!」糸切れしてもいいや、とばかりに強く引っ張ってみる。だがビクともしない。

(管理釣り場以外でブラウントラウトを釣ったのは初めて。しかもこんなにデカイ奴も初体験!)
※もう一度力を入れなおしたら…仰天することが起こった。モーレツな勢いで上流方向に竿が引き込まれたのである。「魚だ!しかもデカイ!」1度走り始めた魚は止まらない。右へ、左へ、上流へ、下流へと姿を見せずに竿を引きずり廻す。
※こうなったら成す術はない。糸を切られないように竿を矯め、魚が疲れるのを待つばかりだ。同行者も気が付いたようだ。「デカイ!」と言う声が聞こえる。バラサナイように。糸切れしませんように…。ひたすら待ちつつ、少しづつ岸のほうへと引き寄せる。

(かつかつ40センチあった。上げるまでの時間は長〜く感じた。取り込み後膝が震えた!)
※どれぐらい待っただろう。ようやく水面に大きな口と頭が現れた。「ヤ、ヤ、ヤッ、ブラウンみたいだ」。全身の筋肉が硬直する。膝が笑うのを抑えながらズルズルと岸に引き上げた。「やっぱりブラウンだ、それにしてもデカイ!」写真だ、写真だ!
※人生69年。渓流釣り歴38年での初体験。神様は時々スバラシイ贈り物を呉れる。「尺もの(30センチ)を釣らなきゃ1人前じゃない」と言われるヤマメ釣り。わずか5ミリ足らず、まだ半人前だった我へのサプライズ・プレゼント!人生捨てたもんじゃないなぁ…。

ブラウントラウト:サケ目サケ科。河川型、降湖型、降海型の3種。ヨーロッパ産。日本にはカワマスの卵に混入して入ったとされる。絶滅種に指定されてる地域がある一方、北海道ではニジマス同様、在来種の生態系を破壊する外来魚として問題になってる魚でもある。
★今日5月1日から2ヶ月間、北海道の渓魚釣りは禁漁に入る。1年半前の術後、未だに痛みの残る肢ではあったが、このままだとまた1年間、釣行できなくなっちまうんじゃないか…。誘われるままに地元では“天然釣堀”と呼ばれる比較的平坦な堰堤下に入渓した。神様は至高のプレゼントを与えてくれたが、試練も与えてくれた。肢の不穏な痛みは、多少悪化したのである。いやぁ、やれやれ・・・・・・・だ!