【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

「コイン」

※雪の午後、車の轍に埋もれてる赤銅色の金属片を見付けた。悴んだ指で拾い上げてみると、丸い金属片の中に「10」と刻印がある。何だか宝物を拾ったような気がして、家へ持ち帰った。が、母親も姉も何か異物を拾ってきたような目をして気持悪がった。

 

f:id:numapy:20210222101802j:plain

(この10円玉と同じような色をしていた。まだ製造されたばかりだったんだろう)

 

※記憶が確かなら、昭和26年の冬のことである。後ほど分かるのだが、この赤銅色の金属片は、初めて世に出回った「10円硬貨」だった。ウチでは誰も発行を知らなかっただけのことだった訳である。物々交換がまだ幅を利かせてた田舎だったせいでもある。

 

 

※何かの本で「世界で唯一、変わらない共通価値がある。それは・・・・コインだ」。この一文を見付けた時、思わず膝を打った。「コイン」は言葉を必要としない人類に共通する価値だ」。膝を打った途端に、10円玉を拾ったシーンが鮮明に蘇った。

 

 

※モチロン「コイン」は「貨幣」というわけじゃない。「資産の交換」全般を指すシンボルだ。物々交換のテマを省くために導入された人類至高の、人類だけの発明だった。猫は餌を買わない。エゾシカは餌を分け合っても、車を買うことはない。

 

f:id:numapy:20210222102016j:plain

エゾシカが夜中に庭木のオンコ(イチイ)を漁った痕。餌が少ないらしい)

 

※紀元前5000年ほど前から始まったこのシステムは、どんどん多様化し、「経済」という分野を生みだし、さらには株式や先物投資、電子マネーや暗号化コインなど複雑化、「実態経済」とは乖離した「もうひとつの虚の経済」を生みだしてる。

 

 

※このコロナ禍下で、「実態経済」が青息吐息の苦しみにあえぐ中、株価は全世界で絶好調だ。妄想だが、「コロナがもっと猛威を振るえばもっと株価は上がる」と期待してる投資家やファンド関係者もいるに違いない。「他人の不幸は蜜の味だ」

 

f:id:numapy:20210222102748j:plain

(連日の彩雲に、どうしても目が行ってしまう)

 

※株価はまだ上昇が予想されてる。こういう社会をどう思うか?リーマンショックに依る「バブル」が、弾けたのはわずか12年前だ。なのに、一部の欲ボケたちは再び「金融至上主義」に踊り狂ってる。「コイン」は「コイン」の役割を果たせなくなってる。