【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

  トラと知性!

「これからの農業は機械だ!」
“阿寒の知性”はそう思った。1950年(昭和30年)頃のことだ。
そこで彼はアメリカ製トラクター「ファモールカブ」を導入した。当時は驚きの10馬力、酪農の阿寒では初めての快挙だった。

(阿寒で最初に導入されたトラクターファモールカブ)
“阿寒の知性”とは、佐々木幸一翁(92歳)のことだ。
彼は驚くことにパソコンを駆使し、自ら撮影したトラクターの写真をスキャン、パンフレットなども当たり前の如くこさえる。我々凡人は足元にも及ばないハイパー・ハイテク爺ちゃんなのである。
ハイテク爺ちゃんは、ファモールカブ導入後の1956年、ドイツ製ランツオールドックA1305(38馬力)2サイクル空冷単気筒、ナフィールド3DL、ランツブルドッグD2416水冷単気筒など、次々に新種のトラクターを導入した。この地域の酪農、いや、農業の概念を変えた改革だったと言ってもいい。

(「いまやガラクタだ」と翁は言う。でも別の人にとっては垂涎の“お宝”かも)
「入隊してビルマ戦線に配属された時、『誰か通信機のことを分かる奴は居らんか』と上官に言われ、ハイと手を挙げた。
故障した通信機を直したところ,上官の覚えめでたく航空隊に配属、通信任務や暗号解析などに就かせてもらった。その経験が人生にきわめて役に立った」と、ハイテク爺ちゃんの視線は宙に舞う。
65年前の記憶が鮮明に蘇ってきてるようだ。「幸運にも復員した」と彼は言う。
(振興公社赤いベレーで6月6日より写真、パンフレット等の展示が行われる)
その後、彼に何が起こったのかはわからない。ただ、驚くことに彼はウルトラライトプレーン(超小型飛行機)ウィードホッパー・ドラゴンJ24Cのオーナーでもある。20年ほど前までは、自宅の飛行場をそれで飛んでた。
気象や風向きなどに詳しいことから、この地域の気象アドバイザーなども依頼されてたらしい。
原発事故に際しても、彼は『メルトダウンは起きてると思った』と言った。「水素爆発が起きるのは、中が溶けてるからだ!」彼は独学で核分裂のシクミを勉強し、磁石を使ってそのシクミを皆に教えたらしい。

ウルトラライトプレーン・ドラゴンを背景に…)
「触れ合う人に恵まれて楽しい人生を送れてきてなぁ、これも周りの皆さんのお陰だ。深く感謝してる」ハイテク爺ちゃんは、この頃会う度口癖のように言う。
東電、政権、原子力安全委員会原子力安全保安員の連中に聞かせたいものだ。「こういうのを知性と言うんだよ!」
話が終わるとハイテク爺ちゃんは3年先の冬の薪を準備するために電動ノコギリを持って薪置き場に出て行った。
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[実家の小布施から訃報、明日急遽帰郷することになりました。本ブログを少しお休みすることになるかも知れません。帰寒したらまた続けさせていただきます。ご愛読のほど、よろしくお願いします]
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