【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

ゼニガタアザラシ!

▼北緯41度55分28秒 東経143度14分57秒と言えば、どこだと思いますか?森進一の歌で一躍有名になった北海道日高地方の最南端の岬…、と言えばもうお分かりですよね。そう、「襟裳岬」です。
▼歌では♪何も〜ない春です〜♪と歌われてたけど、「ある、ある、いろんなものあるぞ」と怒ってる地元の人たちがいて、取材とは相成りました。

▼「まず“襟裳岬”は2曲ある!」と、宿泊先のご主人。「森進一より10年も前、同名の曲で島倉千代子が歌ってる。作曲は遠藤実だ。ひゅるる〜、って歌詞がいい。そうそう、風の強いのだって誇りだ。岬には“風の館”って観光施設ができてて、風の強さを体験できる。お陰でいま注目の風力発電だって、ここじゃお手の物だ。風車見たかい?」

(一列に並ぶ岩礁が太平洋の荒波に何とか耐えてる。かつては岬は3km先まであったんだろう)
▼「CMにもなってるハート形をした湖、豊似湖だって最近じゃ話題を集めてるし、モチロン、魚介類ことに三石昆布は特産だ。そうそう、日本には900頭程度しかいないゼニガタアザラシの400〜500頭がここに住んでるんだぞ!」確かに何もなくはない!
襟裳岬の突端に立つ。その先には、かつて陸地であっただろう幾つもの岩礁が一列に並んで南へ伸びていた。何百年後には、この岩礁も浸食を受けて、やがて波に沈んじゃうんだろうか…?

(真ん中の黒い点を確認いただけるだろうか?黒いなかの白い点は、太陽が反射したようだ)
▼と、波間に黒い頭のようなものが見えた。周囲から声が弾ける。「出た!アザラシだ!」慌ててシャッターを押した。
▼一瞬の後、アザラシは波間に姿を消した。確かに「何もない夏」じゃなかった。というより、何物をも誇りと変えてしまう地元の人の錬金術がまぶしかった。だが、果たしてその第1の誇りを撮れただろうか、シンパイだ。で、結果はやはり……シンパイどおりになった。う〜む…。