【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 ひと月早い秋!

「今年はヘンだ!阿寒には夏がなかった!」と、友人へメッセージを送ったとたん、昨日から今日にかけて夏になった。裏の寒暖計を見ると、28℃。何だい、一昨日まで明らかに秋だったのに、これって真夏じゃないか!
だが、一年中夏でもいいと思ってる不肖オイラにとっては、ただ闇雲に嬉しくなる。ジッとしてらんない。「やはり人間は光合成してる」とか何とか言いながら、外に繰り出すのである。「明日からは東京だ。いまのいま、生命を謳歌しなきゃあ!何時死ぬか分かんないんだから!」。自分に言い聞かせる言葉は、説得力がある。
で、またもやきのこ採りへ出かける。穴場は熟知している。エッ、どんな林か、だって?そりゃ教えらんない。家族にも教えないと言うのが、きのこ採りの鉄則だ。「まあ、500mほども歩けばいい。そこで五感を働かせて探すんだ。歩かなきゃダメだ。」地元の名人はそう突っ放してくれた。その薫陶を受けて見つけた我が穴場に着く。落葉茸(ハナイグチ)の穴場だ。一面に茸の匂い。木陰に踏み入れると、ホラあった。そこにも、あそこにも。ある!ある!ホンの5分で袋が一杯だ。
で、今度はホンシメジの採取場へ。コチラはチョッと藪漕ぎをしなけりゃならない。要注意はスズメバチとカラス蛇。いずれもヤラレルと生命の危機と向かい合わなきゃならない。ヒグマも脅威だ。だが、欲は脅威に勝る。汗だくになりながら、杖代わりの折れた枝で藪をかき回す。藪漕ぎすること30分。ヤッタア!出てる!出てる!マツタケの上を行く茸の名品。汗を拭く間も惜しんで、何十株か袋に収める。頬が緩んでるのを自分でも感じる。「地元でもきのこ採りをする人は少ないのに、どうだア」。新参者は得意満面で帰路に付いた。
ふと見上げると、長村牧場のミミズクのトーテムポールの背後には、真青な空が広がってる。この2日間は、暑かったけど、やはり空は秋だ。大雪山系ではもはや、紅葉が始まってるらしい。東京よりひと月は、秋が早い。ひと月早い秋と、二ヶ月遅い春。その中を行ったり、来たり・・・。「季節は巡る、人生も巡る」。ふとそんなワードが頭に浮かんだ。