【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 珍客来る!

拙ブログで「鹿の飛び出し注意」を書いた。その2日後、フシギな光景に遭遇した。窓の向こうに突然、大きな物陰がヌーっと現れたのだ。
「鹿だ!」。何と真昼間、鹿の群れが訪れてきたのである。こういうのを波動の同調と言うのだろうか、シンクロニシティ(意味ある偶然)と言うのだろうか?
「イチ、ニイ、サン、シイ・・・数えると全部で6頭いる。一家だろう、まだ角の短い若き雄もいれば、バンビもいる。一家は大して恐れる風もなく、くつろぎ始めた。「カメラだ!」。
大きなメスは、雪の下から顔を出し始めた草を。バンビは、去年移植したオンコ(イチイ)の葉を食べ始めた。
「オイ、オイ、そりゃオレが汗水たらして植え替えたオンコだよ!それ食べられると今年、枯れるかも知んないじゃないか」。珍客訪問は嬉しいが、直接被害が及ぶとなると、何とも悩ましい!
外へ出てみる。彼らは逃げない。ビミョーな距離を保ちつつ、コチラを窺ってる。その距離12,3m。観察合戦である。3分ほど両方とも微動だにせずそこにいた。
突然若いオスが「ピイッ!」と啼いた。すると一族は一斉に踵を返して、裏山に向かって走り出した。早い!山に帰って行くのだろう。
しかし、である。コチラが家の中へ入ると彼らはまた、ソロリ、ソロリと降りてきたのである。
いやはや、よっぽどここが気に入ったらしい。それから約30分間、彼らはそこに滞在し、満足そうな後姿で山の中に消えていった。

3時間後の夕方、今度は彼らは中学校のグラウンドにいた。その数も16頭。
「危険に遭遇したことがないんだろうか、妙に人間慣れしてる」「オスの離れ鹿ならイザ知らず、群れでこんな町中に現れるなんて」「よほど食糧難なのかもしれない、今年は雪が多かったから」。

そんな想像をヨソに、彼らは夕焼けの中で妙に超然としているように見えた。
野生の行動はよく分からない。けど、彼らには彼らなりの生きる法則があるはずだ。
人間がそれを知らないだけかもしれない。珍客はそんなサジェスチョンをくれた。
今夜は頭の中に焼きついた光景を肴に、一杯飲ろう!