【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

釧路動物園、その後の「ツヨシ」

未来と書いて「未だ来ない時」と読む。「一瞬先は分らない」も含んだコトバである。
ところが確定してる未来もある。
男女問題はそのイチバン如実な例だ。人間は(というより、動物の多くは)生れ落ちた時に未来が確定する。男は未来永劫にわたって、子どもを生むことはできない。女は子どもを生ませることができない。神の定めた秩序である。

だが、人間の手に掛かると、時々その判定が狂うことがある。
ペアリングを期待されてた釧路動物園、ホッキョクグマの「ツヨシ」と「クルミ」は、雌雄誤判定で確定してたはずの未来が大きく狂うことになった。(本ブログ09年2月4日付掲載)

婿取り、嫁入りなど大いに話題を提供してくれたが、結局、札幌円山動物園から雄の「デナリ」が出張婿入りという形で、この夏のペアリングをめざすことになった。
相手は「ツヨシ」でなく、先輩の「クルミ」である。なぜかって?「ツヨシ」は「デナリ」と結婚できない!親子だからだ。(自然界では親子もありらしい)遺伝的な多様性が狭まる。
というわけで、確定していたはずの「ツヨシ」の未来は「未だ来ず」になってしまった。
「デナリ」と「クルミ」はいま隣の獣舎でお見合い期間中らしい。相性はよさそうだと聞く。何しろ「デナリ」は能力抜群、今年も円山動物園の双子の父となったばかりだ。帯広動物園の「ピリカ」も「デナリ」の娘である。繁殖の成功に期待が高まってる。
確定したはずの未来が崩れたにも拘らず「ツヨシ」は、無為邪気に水遊びしてた。さすが、女は「ツヨシ」!だ。
猛獣舎では四肢に障害を持つアムールトラ「タイガ」と「ココア」の母、「チョコ」は、春の日を浴びて気持ちよさそうに横たわってた。
隣のプールではオタリアカップルが、愛を確かめ合ってる。
さて、彼らに未来はあるのだろうか。確定してるのは、良かれ、悪しかれ人間が彼らの面倒を生涯にわたってみていくことである。
一体それが幸せなのか、幸せじゃないのか?
だが、少なくとも生き残りのためにコロコロと発言を変え、汲々と座にしがみつく政治家たちよりは、幸せな顔をしてる。さらには政治家たちに振り回される国民の顔よりは、不安のない顔をしてる。
政治家たちの顔には一様に、「一瞬先は闇だ!」と書いてある。時には、確定した明るい未来を確信する顔をして欲しいのだが・・・。