【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

空洞化!

すぐ近くでカッコウが鳴いてる。まるで高原のように清々しい。
だが、その清々しさのすぐ隣には見えない翳が潜んでると言うことも忘れちゃならない。
民主党「鳩山丸」が船出した二日後、道東は大雨、強風の荒れた天候となった。跳ね上がるしぶき、吠える木々。これじゃ外に出るわけには行かない。
ようやく雨が上がった夕方、訪ねてきた知人が声を上げた。「あれっ、飛んじゃった?」
外へ出てみると、いや、参った!樹高10mはあったハコヤナギの木が、地上3mほどのところで消失している。強風でバッキリ折れてしまったのだ。白い剥き出しの傷口が痛々しい。
「ヤナギ、弱いからね」。知人は気の毒そうに言った。それにしても、直径20cmを超える樹木が、こうも簡単に折れるとは。どの位の瞬間風速があったんだろう。やれやれ、明日は片づけだ。

翌朝、強風の名残はあったが快晴だった。水銀柱がグングン上がる。この分だと25℃は超えるだろう。
鋸片手に表に出る。倒木を1.5m前後に分断し、小分けにして境界線に積み上げるのだ。これが想像以上にキツかった。
普段使ってない腕の筋肉はすぐに悲鳴を上げる。暑い!噴出した汗が眼に沁みる。息が続かない。「もっと細い木が倒れて欲しかったのに・・・」。風に恨み言を言っても、誰か助けてくれるわけじゃない。
「しかし、何でこうも簡単に折れちゃったんだろう?」
理由はすぐに分かった。折れた部分に、クマゲラが開けたらしき大きな穴があった。巣として使った形跡はない。だがこの穴が原因なことは明白だ。
表面からは見えぬが、中味は「空洞化」してたのである。吹き荒れる強風に耐えられるわけがない。
「空洞化」は、気づかれずに進行するケースが多い。表皮が平穏に見えても、内側は腐ってる。そんな由々しき事態が身近で起こってる可能性はないか?
何しろ新型インフル台風がアッと間に世界中に感染し、金融危機ハリケーンが世界中を呑み込む時代だ。

「しっかりしろよ。鳩山丸も麻生丸も、表面だけキレイごとで済ませ、一皮剥けば腐ってる。そんな『空洞化』はやめてくれ。もしそれに気付かなけりゃ、後片付けは汗みどろの力仕事になる!
それにしても自然から学ぶことは多いなぁ・・」。
そんな独り言を言いながら、伐った木をウンウン担いで運んでる。