【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 「100年後の大予測」

「世界は100年後、どうなっているか」
今から108年前の1901年、報知新聞(今のスポーツ紙じゃない)は科学者らの意見を参考に「20世紀の大予測」を発表した。それを読むとテクノロジーの分野では「無線電話」「写真電話」など、予測が驚くほどの精度で当たってることを確認できる。
同様の「大予測」は1899年、アメリカでもあったらしい。その中に「空を飛ぶ機械が出現」という予測もあったという。
「大予測」は早くも1903年、現実のものになる。ご存知、ライト兄弟が距離260m、時間59秒の初飛行に成功した。そして20世紀は空の時代へと飛び立ったのである。
飛行原理や操縦法は殆どそのままに、現代のヒコーキは世界の空を飛ぶ。釧路湿原の空も飛ぶ。

爆音が秋空を振動させて近づいてきた。そして身を翻して上昇していく。操縦士たちはフワリと浮いた機体の中で、東西南北、天地左右、まさに何ものにも捉われぬ三次元の自由な気分、鳥になった気分を味わってるに違いない。
110年前には「大預言」あるいは「夢物語」だったテクノロジーを、人類はごく身近なものとして手に入れた。その意味では、ヒコーキは人間の想像力とハイテクの勝利と言えるだろう。
古代から、人類は空を飛ぶことを夢見てきた。鳥になることを夢見てきた。

だが、鳥のほうはどうか?始祖鳥は、約1億五千万年もの歳月をかけてようやく翼を持つに至ったと言われる。そこには、何十万世代が拘わったことだろう。
その翼を人類は、わずか100年チョッと、3世代で獲得した。進化の超特急を実現したのである。しかし、生物の進化スピードとしては早すぎないか?
湿原の鹿は、爆音に驚いて逃げ回った。彼らには大きな音を立てて飛ぶ、“神の鳥”に見えたかもしれない。

20世紀は、間違いなくサイエンス&テクノロジーの時代だった。じゃあ、これから100年後、つまり22世紀はどんな時代になってるだろう?
「コミュニケーション努力のいらない世界!」それが自分の「大予測」だ。「マイクロチップが全員に埋め込まれ、カラダに触れるだけで情報のやり取りができる!」。
コトバも要らない。コミュニケーション努力の必要もない。何しろ全ての情報がお互いに入手できのだから、さまざまな猥雑さから開放される・・・。
チョッとSF的過ぎる悲観的な予測だが、不気味な世界ではある。果たしてそれは、人間と言うものの進化と言えるのか?それとも、その一歩手前で叡智が働くのだろうか?
皆さんの「大予測」も聞いてみたい気がします。