【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 ニンゲン算!

ネズミ算は知ってた。だがネコ算は知らなかった。
30年ほど前のある夜、帰宅途中の足元に一匹の子猫が近寄ってきた。四本の脚の先端と、鼻の横に米粒みたいな白い毛があり、他は全身黒の長毛種だった。抱き上げるとしがみついてきた。これがネコ算の始まりだった。
経緯はいろいろあるが、2年後には17匹に増えていたのである。「生命の偉大な力」、ネコを見るたびこのことを思い出す。

ニンゲンにも生命の偉大な力を、改めて実感する時がある。
先日、義弟の還暦を祝う一族旅行に出かけた。5歳未満の幼児5人を含む総勢19人。まだ、ひとり欠けてることを考えれば、その人数の多さに感嘆せざるを得ない。
三女夫婦二人を核に始まった一族が、30年間で6倍以上に増殖したのである。こういうのをニンゲン算というのだろうか。
夕食バイキングは、ホテル側も一族旅行と言う触れ込みに配慮してくれたんだろう、“ビップルーム”なる特別室を用意してくれた。
年に3〜4回は集合するが、いざこうしてこぞってテーブルに着くと改めて壮観だ。広い部屋に開放された、孫世代は蜂の巣をつついたような大騒ぎ。
甥姪世代は、それぞれの伴侶を巻き込んだ子育て、仕事、ファッション情報交換。
爺婆は、地域論議、政治論議・・・まさに大宴会、いや異世代交流と言ってもいいかもしれない。
世間でシンパイされる「少子高齢化」が、ここでは遠い議論のように思えてくるからフシギだ。少し酔い始めたせいかもしれない。
翌朝、昨日は嵐だった天気が回復、晴れの兆候を見せてる。改めて昨夜の大宴会が思い出される。
いやあ、ニンゲン算というのはスゴイ!上野動物園に連れて行った幼児期の甥や姪が、いまや伴侶を見つけ、結婚し、人の親である。しかも、いろいろな情報を教えてくれたりする。
かつての大家族の一端を垣間見たような気がした。異論はあるだろうが、大家族の端っこで育った身には、やはり一族は多いほうがいいように思える。
外は寒いが、何だかヌクヌクしてきた。