【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

500万年未体験ゾーン!

「阿寒湖小学校6年生の皆さん、今日は天気がよくて良かったですね。これから一時間半ほど、化石授業と言うことで、化石発掘体験をしてもらいます。その前にチョッとだけ説明を・・。

この辺りは、約500万年前の地層と言われています。地質・地層の授業で新第3紀「鮮新世」というのを学びましたね。その頃にできた地層がこの辺です。
人類が発生した時代、海ではイルカやクジラの仲間が多くの種類に分かれはじめた頃です。今皆さんが立っているこの阿寒シェル鉱山でも、海牛のヒゲや、骨の化石が発見されています。
この鉱山では主に「エゾキンチャク」「タカハシホタテ」「カキ」「ホッキ」などの貝殻化石があり、海の底だったことが分ります。海流と波が貝の死骸や殻を運んできて、置いて行ったのでしょう。その意味では、ここは海の生物達の墓場とも言えます。
11人分のハンマーやタガネを用意してあります。怪我などしないように挑戦してください」。

「ええ?これは海牛の骨の化石じゃないかって?いや、これは違いますね。ただ、海獣の骨らしきものを見つけたら、持って帰っちゃ駄目ですよ、釧路博物館で展示しますから。うん、貝の化石は持ち帰りO.Kです。
ああ、それから直接貝の化石にハンマーやタガネを当てては駄目ですよ、割れてしまうから。そうそう、見えてる化石の相当外側から掘ってくださいね」。

「根気よく、掘らないと駄目ですよ。ほら、あそこで掘ってるおばさんがいるでしょ?今日特別参加の、あの人はもう3回目だけどずっとあそこの化石を掘ってる。トータル5時間ぐらいになりますか、そのぐらい根気よくね!」
「ああ、そう、前にも化石掘りにおじいちゃんと行ったことがあるの?どこだったの?覚えてないけど、楽しかった?それはよかった。今回はどう?結構好きだって?それはよかった。皆さんが興味を持ってくれれば、これに越したことはない」

「暑ければ、あそこに湧き水が出てるからそれを飲んでください。
鉱山の人の説明だと『ここは阿寒湖の伏流水で年間通して9℃、冬でも凍らない。水質検査に合格しているだけじゃなく、成分検査でもカルシウムや、マグネシウムなど、いろいろな数値で南アルプスの天然水などより高いことが分りました。化石層を通り過ぎてくるからだと思います』とおっしゃってましたからね。飲むと美味しいですよ」。
(それにしても、子供達みんなイキイキとしてるなぁ。1学年わずか11人、それぞれの個性をはっきり感じられた野外授業。
これで自分達がどんな希少な土地に住んでるかを理解し、誇りに思ってくれれば未来は変わる。ガンバレ、ガンバレ、君達が未来を変えていく大きなエネルギーだ。希望を持たせてくれてありがとう!)