【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 自衛隊 “災害支援作戦”!

「オイ、コラッ、コラッ!カンベンしろよ!喰っちゃ駄目だ!」
脳内で怒鳴りつけてる相手は、エゾシカである。そりゃぁ、野生が近くに来ることはマンザラじゃない。だが、大切にしてるオンコ(イチイ)の葉を齧られちゃたまらん。それも11頭もじゃ、全部食われちまう。
最近、こうした悩ましい事態に陥ってるのが道東一帯といっていいだろう。

(別の木には3〜4頭が群がってた)
北海道のエゾシカは64万頭を超えたという。被害額も50億円を超えるという。こうなればもはや「災害」である。隣町の白糠(しらぬか)でもいろいろな駆除対策がとられてきたが、なかなか成果は上がらなかった。09年度の農業被害は1億2300万円に上る。
そこで町では陸上自衛隊の支援を求めた。射撃訓練と搬出訓練、さらには肉を自衛隊の食材として利用する・・・。「まさに一石三鳥の作戦だ!」との噂もあった。
そして・・・・・・・この2月8〜10日、いよいよ陸上自衛隊の“エゾシカ駆除作戦”参戦が決まった。射撃訓練はないが、ヘリコプターでシカの居場所を地上のハンターに伝える他、越冬地の生息状況を調査、さらには駆除したエゾシカスノーモービルで運搬する任務を担当してくれる。一歩前進、と地元の期待は高まる。
ハンターにとっても朗報に違いない。シカの居場所が分るし、何よりも重労働である死体の運搬を支援してもらえる・・・。
実は、不肖ワタクシもこれまでに何度もハンターの背負子として鹿を追ったことがある。ある時は、35kgの肉と角の付いた頭を運んだ。山中、アップダウンの運搬には、カラダもココロも悲鳴を上げた。

(口笛で追い払うと山の中へ帰っていった)
それがスノーモービルで運搬してくれると言う。やる気になった高齢ハンターも多いことだろう。搬出によって流通チャネルやシステムへの路が拓ければ、20年前に提案したビジネス化も夢じゃない!
35kgを運んだ時は170個の缶詰に加工、在京の友人達にお歳暮として贈り、随分喜ばれた。やり方によっては、害獣は宝の山にもなるのである。
その美味しそうなエゾシカが目の前にいる。だが、何の資格も経験もない自分は、今も、これからも、銃の代わりにカメラをシカに向けることと、口笛で追い払うことしかできない。やれやれ・・。