【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 一家団欒!

猫が食べ物をねだる時のような甘えた鳴き声が聞こえる。聞いてる方が恥ずかしくなるような甘え声だ。鳴き声の主はカラスの子。そしてその甘え声に似たような声で返事をしてるのは、どうやら母ガラスだ。「やっぱり、だ!」

(母親ガラスは、くぐもった鳴き声で餌の捕り方を教えてた)
数日前から、裏庭に据えた寒暖計を見に行く度に、“ギャー、ガー、グエー!”。二羽のカラスから凄まじい威嚇と襲撃を受けていた。「この近くに巣がある!」
で、わが身を守るために、何とコウモリ傘を差して寒暖計を見に行く羽目に陥った。
その粗暴母カラスが、シンジラレナイ甘い声を出してる。これ以上ないわが子への愛情をタップリ見せ付けてる。カラスは大嫌いだが、ここまで見せ付けられると人間を含む動物達の母親の、無償の愛を感じざるを得ない。
暫くすると、カメラを向けられた母親の警戒の一声で親子連れは飛立っていった。

(右端の大きいのが父親らしい。いつもこいつが最初に威嚇に来る)
夕方近く、寒暖計チェックをするためにコウモリ傘を差して再び裏庭へ。すると寒暖計を吊るした木の先に、先刻の親子連れがいた。よく見ると3羽になってる。何と、父親(らしき大きなカラス)も混じって、一家団欒の体である。
も1度断るが、カラスは嫌いである。だが、おそらく大半の人間に嫌われてるカラスでも、こうした親子の細やかな情を見せられると、仄かな笑みが沸いてくる。何故か優しい気分になってくる・・・。
「バラバラに避難して、未だに一家団欒どころじゃない!」という震災被災者たちはこうした光景を見てどう思うだろうか?
余談になるが、写真を撮った日の後、この一家はぱったり来なくなった。
★書き込みをドラッグしていただくと白抜き文字がスミに変わり、読みやすくなります。