【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

「ばんえい競馬考2」!

▼馬を家畜化したのは、紀元前2000年頃黒海北部に住んでいたアーリア系の古代民族といわれる。戦車、または荷物運搬用の「力」として用いられた。したがって馬は元々、早く走るのじゃなく荷物運搬家畜だったのだ。その証拠に、エンジンの力を表わす単位として今でも、〇〇馬力という単位が使われている。

▼「ばんえい競馬」は、家畜化された馬と人間の関係を実によく表現した競馬である。記録に残っている最古のレースは1915年(大正4年)、函館で行われた余興としての「挽馬実力競争」だったという。
▼40間(約73m)の平坦コースの上を雪ぞりに一俵16貫(60kg)の土俵(つちだわら)を3〜14俵乗せて競争させたという。これをきっかけに、北海道各地で「実力競争」が広がっていった。
▼本格的になるのは第二次世界大戦以降である。1946年、地方競馬法が制定され「ばんえい競馬」は公式競技になった。道による公営競馬が開催される一方、市営競馬も行われるようになる。
▼1953年には市営旭川市岩見沢市・帯広市北見市による市営競馬が開始。2001年にはフランスでも開催された。しかし経年とともに、売り上げが減少し、旭川市北見市岩見沢市は2006年度限りでの撤退することになった。残る帯広市も単独開催は負担が大きすぎるとして継続に難色を示し、「ばんえい競馬」の火が消える気配が濃厚になった。

▼だが、ファンの嘆願や寄付などを受けて、ソフトバンク・プレイヤーズが支援を申し出、2007年度から同社の支援を受けて帯広市が単独で開催を継続することが決定、今に至っている。
▼「ばんえい競馬」が世界で唯一の競馬であることは以前書いた。またこの4000年間、人間は馬と二人三脚で歩んで来たとも書いた。「ばんえい競馬」は、人類と家畜の歴史を振り返るひとつの文化である。人間と動物、人間とペット、人間と家畜の関係を考える上でも決して消してはならない火であると考えるのだが…。