【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

鳥の目!

▼「ワシャあ、天然記念物のオオワシでもなけりゃ、オジロワシでもない!ワシャあ、ワシじゃ!エエイ、紛らわしいな、つまり釧路湿原をテリトリーにする“鳥の目”じゃ。もう何百年も釧路湿原の上空を滑空しとる!」

▼「時々、ウルトラライトプレーンなる鳥人たちもやってくるが、ワシらとは滞空時間の長さが違う。ワシらは何十万年も前から、祖先の言い伝えや神話を大切にしながら、釧路湿原上空を飛んできたんじゃ!」
▼「祖先たちの言い伝えはこうだ。『水には真っ直ぐ進みたいという意思がある。じゃが、土や石にも意思がある。今いる場所にずっと定着していたいという意思だ。二つの意思は昼夜ぶつかりあい、大抵の場合は土や岩が勝つ。水はやむを得ず意思を曲げ、曲がりくねって前進することになる。これが自然の掟じゃ、自然の掟に逆らってはならぬ!邪魔者とも折り合いをつけていかなけりゃならぬ!』」
▼「じゃが、後から釧路湿原にやってきた人間どもは、自然の掟より経済効率を優先した。今から80年前には、曲がりくねる釧路川を面倒、とばかりメスを入れて一直線にしちまった。湿原の真ん中に太い道路をつくっちまった。

(人間の意思により、直線化された新釧路川が画面の上に見える。下方の蛇行と比べると痛々しい)
▼「結果、どうなったか?湿原は段々と乾き、生き物の多様性が失われ『心の砂漠化』が進行しつつある。どうやら間違ったらしい、失敗したらしい…と人間たちは気がついた。そこで、釧路川の湿原と多様性を取り戻すべく、暗渠や堤防の埋め戻しを始めたようだ」
▼「なんとも嘆かわしや、人間はわずか80年先のことが読めない。もっともハイエナ政治家たちが読むのは、明日の空気だけだし、高級官僚っちゅうパラサイトは自分のことだけ!明日の国のことはどうでもいいっちゅうわけだ…。天下国家から食いぶちを与えられたる者、もう少し“鳥の目”を持てんもんかねぇ…」