【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

ヒグマは夢の中?

▼12月21日。マヤ暦に端を発した世界終末論も、結局は平穏な1日で終わった。驚くべきは、日本においては冬至だった。決して偶然じゃあるまい。改めてマヤの正確な天文科学に舌を巻く。

▼だが、流石のマヤ暦も北半球の国々がこんな異常寒波に襲われるとは予測しなかったろう。ことに日本は「ブルブル列島」になっちゃった。近年お騒がせの冬眠しない羆も、流石に冬眠してるだろう。…でもそれは間違ってた!
▼ヒグマに魂を奪われて宇宙物理学から「ヒグマの追っかけ」に転身しちゃった大雪山系のクマ男、岩井基樹氏は著書「熊のことは熊に訊け」(つり人社)で、羆の冬眠は冬眠じゃない!と言う。
▼「アラスカなどでは冬眠にあたる言葉に通常denningが使われるが、誤解なく翻訳するなら冬眠よりも巣籠り・冬籠り程度のニュアンスのほうがはるかに近い。(中略)だから厳寒期でも動こうと思えばいくらでも動ける!」

▼これは驚愕!だった。つまり餌がないからエネルギー消耗を避けて籠ってるだけで、酷寒でも餌さえあれば、家の周りへも近づいてくるというワケだ。ひゃぁ、とんでもない!それじゃ、夏と同じじゃん!
▼氏は、ヒグマの高知能ぶりだけじゃなく別の顔も教えてくれる。「食いしん坊」「好奇心」「グルメ」「遊び好き」「横着」「贅沢病」…いずれも30年近い観察と森の中での共生生活から生まれたものだ。

▼さらに、氏は「ヒグマの正しい知識」「ヒグマと遭遇しない法」や「ヒグマの追い払い法」などをユーモアたっぷりに書いている。めざすのは「ヒグマの生態の理解」と「縄張り分け」、つまり程良い距離で共生していく道だ
▼阿寒でもヒグマの目撃情報は結構多い。自分はまだ見たことはないが、裏庭にキノコを食べに来た気配と、微かな爪風の痕跡がなんとなく「山おやじ」のように思えた。

▼さて。遭遇したらどうするか?この本の教えに従って、死んだふりする?怒鳴る?ガンを飛ばす?スプレーガンの撃鉄を引く?…いずれにせよ、先住民のヒグマの生息地域に割り込んできた身としては、身の振り方を考えておかねばなるまい!