【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 故郷の秋の便り、でかっ!

※「拾われぬ栗の見事よ大きさよ」―――この俳句は戸時代の俳人小林一茶の句である。不肖ワタクシの故郷、信州小布施で詠んだものだ。小布施栗と呼ばれる地元産の栗の大きさに圧倒されて詠んだと言われてる。

※その小布施栗が実家の姉から送られてきた。小布施栗のでかさは昔から知ってたが、故郷から遠く離れた地で手にすると、改めて「でかっ!」。一茶が圧倒された見事さを改めて実感するのである。
※小布施栗は600年の歴史を持つとされてる。起源については「荻野常倫の移植説」が有力視されてるようだ。室町時代に城を構えた「荻野常倫」と言う武将が、小布施の土質が栗に向いてるとして京都の丹波から移植したとする説である。
※その後、天領となった小布施村の栗は厳重に管理され、毎年収穫後厳選したものが将軍家に献上されたという。当時、栗林は「お留林」、栗の実は「お留栗」と呼ばれ、栗を造っているものでさえも献上までは栗を自由に口にすることが許されなかった。

※ふ〜ん、だからからかぁ、子供時代、栗菓子は贈答品だったもんなぁ。口にしたことが殆どない!もっとも栗の木は一家に一本。実は茹でて食べてはいたけど…。ま、それはともかく、いまや年間120万人ともいう観光客を集める一大要因となった栗に、町民は足を向けて眠れない!
※かつては献上品だった“小布施栗”が、不肖ワタクシの手の中にある。殿様をやったことはないが、まさにお宝を贈られた殿様の気分。そのお宝とはモノじゃなく、60年経ってもモノを通して湧き上がる豊穣な故郷への感謝。郷土を愛するココロだ。

※『拝啓 AB首相殿 「地方創世」は、つまりは地域を愛する人づくりです。貴殿が軽々に言う「地方創世」は、歴史の重さに耐えられるか、地域を愛する人づくりの重責に耐えられるか?その哲学をしかとお見せいただきたい!』