【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

脳の指紋、記憶の指紋

まずは、この写真を見て欲しい。先日、知床を回った際に野付(のつけ)半島で撮影したハマナスの花だ。
だが、この写真が原因で「野付半島には行かなかった」という嘘がバレるとは誰も思わないだろう。
実はバレるのである。なぜか?そう、脳にはこの花を見たという、指紋が残るというのである。

「まさか!脳の中に指と同じように指紋があるなんて!」と最初は思った。だが、話を聞き、実験で証明されると、納得せざるを得ない。「脳の指紋」の存在を証明する実験とは、こうだ。
まず、被験者の頭の各部位に幾つもの電極をつける。話題のアルファ波を図る時と同じだ。次に、出題者が5枚ほど用意した写真のうちから一枚を選び、被験者に見せる。その後、観察者をモニター画面につかせ、今度は度5枚の写真を全部、被験者に見せる。さあ、観察者にクイズだ。「この5枚のうち最初に被験者が見た写真はどれでしょう?」。
するとあ〜ら、フシギ。観察者は間違いなくその写真を選び出すのである。まるでトランプマジックみたいである。疑い深い出題者が2枚見せることもある。
だが、その場合も観察者は、正確に2枚指し示すのである。「参ったあ!」
読解の秘密は揺れ動く脳波の、読み方にあるらしい。人間の脳は、一度見たことのあるものに対し、独特な脳波の形を描くのだそうだ。だから、観察者は脳波の波形を見るだけで、その人の経験をぴたりと当てることができる!つまり嘘発見器ポリグラフ)と同じ働きをするというわけだ。しかも、ポリグラフよりはるかに精度が高いそうで、そのシーンを見た当事者だけが反応する「記憶の指紋」と言っていい。
犯罪捜査担当部門からは高い評価を得ており、世界中の敵、テロリストの割り出しにはなかなか威力を発揮しそうということだ。なかでもアメリカの注目度は相当高いらしい。だが、犯罪捜査部門意外にもいろいろ使い道はあるらしい。例えば、このシステムを、浮気疑惑のダンナに奥さんが使ったらどうなるか?ひえ〜、考えるだけで恐ろしい時代になった。