【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

「たんぽぽのお酒」

夏も近いというのに、阿寒では「雪」が降ってる!純白の「雪片」が次から次へと西風に舞い、降ってくる。いまにも町中が「雪」に埋もれそうだ。
「雪」の正体は、実はタンポポの綿毛。この2〜3年で急激に生存圏を広げた張本人である。
一体震源地はどこか、原因を突き詰めたい。
朝6:00。小っちゃなカメラを持ってウォーキングに出る。気温7℃。まだまだ弱い日差しが牧草地に影をつくってる。
そこで意外なことを発見した。タンポポはしっかり花弁を閉じているのである。
タンポポも眠ってる!」そう、日中はあたりを黄色く塗りつぶしたかのように隆盛を誇る洋タンポポが、眠ってたのである。意外だった。「ファンタスティック!」
そういえば「たんぽぽのお酒」という本があった。SFファンタジー作家「レイ・ブラッドベリ」の名著だ。
もう40年も前に読んだので定かじゃないが、確か少年が祖父の家で過ごしたひと夏の記憶を綴ったものだった。
祖父が毎日タンポポの花を漬け込んだビンの中のお酒に、ひと夏の記憶が溶け込んでる、黄金色のお酒のエキスに記憶が溶け込んでる・・・そんなイメージが強烈だった。
タンポポでお酒は造れるんだろうか?そんなことも思った。

帰り道、ようやく日差しが強くなり始めた頃、タンポポは黄色の笑顔を覗かせていた。
この、人を幸せな気分にさせてくれるタンポポのどこに、綿毛を振り蒔いて生存圏を拡大していくエネルギーがあるんだろう。
「雪」は当たりかまわず積もっていく。来年はどこまで広がるんだろう?和タンポポを駆逐して、どこまで侵食していくんだろう?

ふと、さかしまな考えが浮かんだ。「これだけタンポポが増えてくれば、ヒョッとしたらバイオエタノールの製造が可能じゃないか?」
いやはや、俗物はブラッドベリみたいなファンタジーを思いつかない。
だが俗物も「たんぽぽのお酒」は造ってみたいと思う。一体どんな味がするんだろう?