【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 餅つき!


この写真、夕方と思いますか、朝方と思いますか?
「夕方!」と答えた人、「ブーッツ!」。
正解は、12月20日朝6時50分、日の出直後の写真です。なぜこの写真が撮れたのかというと、標茶(しべちゃ)の親戚で毎年年末恒例の餅つきに参加したお陰です。例年より2時間近く遅れて到着したため、この幸運と遭遇することができた。
釧路は「世界三大夕陽名所」のひとつとされるが、いやいや、朝日だってなかなかだ。やはり「早起きは三文の得」である。
餅つきも、もうひとつの「三文の得」だ。大体、いまどき自分ん家で餅つきをする家があるか?もはや希少価値、それも無形文化財的価値を体験できるのだ。
それにしても手がかかる。前夜から60kgの米を研ぐ。水に浸しておく。臼を搗き場にセットしておく。

さて翌朝である。釜にお湯を沸かす。せいろを二段重ねにして蒸す。蒸した餅米を粘り気が出るまで杵で潰す。搗き始める。
搗き上がると、でんぷんを敷いた机の上で伸ばす。冷めてきた頃包丁で切る。でんぷんをまぶして、袋詰めする。これを60kg分、20回程繰り返す。
タイヘンな労働である。
その殆どを毎年、腰痛持ちの義兄さんが仕切る。カラダ、ダイジョウブかなぁ、とずっとシンパイだった。

でも去年から、強力な後継者候補の若者たちが加わった。後2年も経てば、義兄さんも口だけ出してれば済むようになるかもしれない。
12:40、予定どおりに60kg全てを搗き終えた。
「これより一同昼食!」搗きあがった温かい餅を腹いっぱい食べる。納豆、オロシ、キナコ、クルミ。労働対価としても充分満足できる味わいである。
一服後、義兄さんはさすがに腰痛が酷いらしい。「ニイチャンたちと温泉に行ってくる」と2人の若者を連れて出かけて行った。
年の瀬の恒例行事「餅つき」。これで、年明けも市販の機械餅とは比較にならないほど上品(じょうほん)、まるで、肌がきれいな女のようなキメ細かい雑煮を食べられる。
よくぞ日本に生まれける、よくぞ手搗きの親戚持ちにける。
帰路は嬉しいかな、朝と同じような夕焼けの中だった。