【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 環境コストを払いなさい!

特別天然記念物タンチョウに、最近、アチラコチラで「黄信号」が提示されてる。
写真の中空に浮かぶ「イエロー・バー」がそれだ。
タンチョウに「ここに電線あり!注意せよ!」を警告する標識である。人間社会との共生が進むに連れ、タンチョウの生息地にも人間社会同様、交通禍が激増し始めたのである。
タンチョウが近距離を移動する際には、低空飛行が中心になる。そこにはタンチョウには見えない危険、電線が走っている。
今年は過去最悪、30羽が電線事故や自動車事故で犠牲になったり、怪我をしたという。
100mほど離れた中学校の校庭給餌場には、毎日電線を掻い潜って親子連れのタンチョウが4羽来る。親子で悠然と餌を啄む姿は優雅で心を和ませてくれるが、いつ接触事故を起こさないとも限らない。

こうしたタンチョウ電線接触事故の予防手段として、北電は電線に黄色の標識カバーをつけるなどの努力を続けてきた。そのコストは、公共安全という意識の下に北電が自己負担してる。
こうしたコストだって、一種の環境コストと言っても過言じゃない。
ふと、先日のCOP15を思い出した。一体あれは何だったのか?
CO2排出のA級戦犯アメリカの消極性も最低だが、世界最大の排出国中国を、途上国と言えるんだろうか?とっくに先進国の一員といえるんじゃないだろうか?環境コストを支払いたくない一心が透けて見える。
「行き着く先が分っているのに、今日のメシしか見ようとしない」「人間の絶望的なエゴ」。そんなふうに書き込むブロガーが多かった。
絶滅するかもしれないタンチョウ保護をボランティアで始め、1000羽を超えるまでに増殖させ、その結果甘えん坊になっちゃったタンチョウの、電線事故予防のための環境コストを支払っている北電や、道東自治体の努力はひとつの方向を指し示してる。
つまり、一度人間が手を入れたものは、手を入れ続けるしかないのである。環境コストとはそういうものだ。
世界の首脳達に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいほど、誇りに思っていい。