【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 「 釧路湿原美術館第9弾!」

※「ささきえいまつさんのお宅ですか?」「いいえ、違います!」電話による初接触はそう始まった、と石丸基司氏は苦笑しながら語り始めた。石丸氏は北海道作曲家協会の理事を務める作曲家。1985年には国際作曲コンクールで入選している。
※同氏が語り始めたのは、釧路湿原美術館ロビーで開催された「湿原のドン・キホーテ講演・演奏会〜木管五重奏〜」のトーク&コンサートでのこと。“湿原の画家”故佐々木栄松(ささきえいしょう)の油絵をモチーフに作曲した、5楽章の組曲と故画家との物語だった。

(タイトル:「湿原のドン・キホーテ 釣りの自画像」 1974)
※「なぜ、自画像に“ドン・キホーテ”というチョッと自嘲的なタイトルを付けたのか…そこに興味を持ちました」石丸氏は語った。同氏は画家との交流を深める中で、画家の秘められた人生や彼の友人との交流、例えば作家の開高健や漫画家の矢口高雄などの釣り仲間や友人関係を知ることになる。

※2004年、曲は完成した。同年11月21日、完成した曲を聞いた画家は、「恍惚としてその時に溺れた」と感動の一文を残している。ミニトークが終わるとすぐに5楽章完成初コンサートになった。奏でられた音楽は「スバラシイ!」のひと言に尽きた!
※第一楽章「気まぐれな哀調」 第二楽章「憧れの時」 第三楽章「北斗七星」 第四楽章「ルルラン」(標茶の地名)第五楽章「諧謔なる決闘」・・・全編に亘って、釣魚を追いつつ湿原を彷徨する自らを“ドン・キホーテ”に被せた画家の自画像が音で描かれていた。

※・・・目を瞑れば湿原を吹き渡る様々な音色の風が木管の楽器を通して爽やかに吹き抜けていく。まさに…まさに、ヴィジュアルとサウンドの完璧なコラボレーション、コミュニケーション!この壮大な宇宙は、この一瞬にしか味わえないフュージョンだった。
※8月16日。送り盆。母親のことをふと思った。あちらで元気でいるだろうか・・・・・。もう阿寒は秋の気配だ…。