【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

再び、アイヌネギ(行者ニンニク)!

アイヌネギは麻薬である。木の芽時の正常人を中毒にする。義弟がついに中毒になった。会えば必ず、「アイヌネギ、行くかい?」と口走る。これは間違いなく第一期中毒症状だ。
アイヌネギの何が彼を中毒にさせたのか?今回はその背景をご紹介しよう。

最初の害毒は、コレクター本能と知的好奇心の亢進性だ。
アイヌネギは、スポットで群生する。いくら山を歩き回ってもスポットに出会わない限り、収穫できない。
大群落を、しかも、自分だけのスポットを発見する。そして全て自分のモノとする。その喜びがコレクター本能と知的好奇心のインセンティブになる。義弟は「群落発見、が夢に出て来るんだわ」という。病のハジマリだ。
第二の害毒は、冒険志向、健康志向をシゲキすることだ。何しろご覧のように、日頃は体験しない急斜面を登ったり降りたり・・・。かなり危険な箇所もある。
だが、これがカネの掛からぬ森林セラピー、ウォーキングなどの身体的、精神的活動欲求を満たす。
第三の害毒は、これがある程度のビジネスになることだ。何しろ、この植物は一面雪に覆われた山で、芽吹き時をジッとまってる。時が満ちると、雪があろうとなかろうと、上空目指して伸び始める。雪も落ち葉も串刺しである。
圧倒的な生きるエネルギー!そのモーレツな生エネルギーを、健康志向の人々が見逃すはずもない。
そして最後は、なんと言ってもグルメ志向を満たすこと。
アイヌネギはその昔、好事家だけの嗜好品だった。匂いをものともせぬ野人だけが大切に食べていた。勿論、料理の種類も少なかった。
だが、最近では料理法がぐんと広がった。臭みを取る料理法、調理法が開発されつつあるのである。確かに天ぷらは殆ど匂いを気にしなくて済むし、酢味噌和え、卵とじなども、臭みはあまり感じない。
そこで、新しい調理法を開発した。「これって、結構クリエイティブじゃない?」。
レシピ、調理法は最後に掲載するとして、アイヌネギはまさに中毒患者を増やすには充分すぎる程の誘因性を持ってるのである。
義弟は今年、中毒患者になった。釧路市街にアイヌネギは生えない。阿寒の山に生える。義弟は私を「アイヌネギ名人」として奉り始めた。この私を、だ!
じゃあ教えてやろうじゃないか、自分だけのサンクチュアリなんてケチことは言わない。情報公開しようじゃないか。それに、彼の中毒を治すにはホメオパシー療法(ワクチンと同じような同種療法)が必要だ。免疫療法を施す必要がある。「連れてってあげましょ」。
しっかし、馬鹿だなあ。「名人とおだて上げられて自分も中毒症状第二期に入ってる!」。

●新開発「鶏胸肉とアイヌネギの酢醤油煮込み」レシピ(二人前)
アイヌネギ:20〜30本※醤油:30mℓ※酢:10mℓ※鶏胸肉:角切り200g※水:500mℓ(あくまで目安です、お好きな味に)
●調理法
アイヌネギをサッと湯がいておく。煮立てた水に鶏肉を入れ、醤油と酢で味付け、弱火で5分ほど煮込んだ後、湯がいたアイヌネギを入れる。20分ほど弱火で煮込み、アイヌネギの香りと味を鶏肉に染み込ませる。これで完成。
鶏胸肉は鶏皮のみじん切りでもOK。コチラは、空き瓶につめ冷蔵庫で保存。酒の肴として少しずつたべる。ご飯のおかずにも適。