【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 棘!

▼♪山には山の憂いあり 海には海の悲しみや ましてこころの花園に 咲きしアザミの花なれば♪
▼ある年齢以上の方なら、この歌を諳んじてる人も多いだろう。昭和24年8月、戦後復興の真っ只中NHKの「ラジオ歌謡」で放送、大ヒットした。
▼「あざみの歌」。 作詞:横井弘 作曲:八州秀章。二人は戦後、焦土と化した日本の復興を思い、この歌をつくったという。二番の歌詞♪高嶺(たかね)の百合のそれよりも 秘めたる夢をひとすじに♪になによりもその強い思いが込められている。妻子が疎開した長野県下諏訪 八島ケ原高層湿原で見た情景がそのまま詞になったのだという。

(葉のふちだけじゃなく、茎も棘だらけ。清楚な花に似合わぬ気性の激しさだ!なかなか怖い!)
▼「あざみの歌」は日本に希望をもたらしたが、「アザミの花」はカラダに痛みをもたらす。そう、鋭い棘を持ってるのだ。別名棘草。「あざむ」(傷つける、驚ろく等の意味)が語源になったともいわれる。つまり、その清楚さに惹かれて思わず花を折ろうとすると棘に刺れるぜ!ということか。
スコットランドでは国を棘で守るという意味から国花となっている。日本には100種ほどあるが、地域変異が凄まじく、いまだに新種が見つかったりするらしい。
▼草刈りの最中、小さなアザミの花を見つけた。あまりに可憐なので刈らずに残しておいた。一カ月後、アザミは何と茎高2mを越えた。こんな背の高いアザミ、見たことない。「もしかしたら新種かもしれん」と思わず手を出した。「イテテッ、やられた!」。アザミは、一筋縄じゃ手に負えない美女なのだ。
▼後で調べたら、どうやら北海道に生息する「タカアザミ」のようだった。でももしかしたら、新種かもしれない…。