【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

「ほっちゃれ」

(開いた花が檜扇みたいなことからヒオウギアヤメの名がついた。いよいよ夏)

 

※当地では7月1日からヤマメ釣りが解禁となる。禁漁期間は4月、5月の2か月間。因みに本州での禁漁期間は、殆ど前年の10月1日~2月いっぱい。北の果ては冬が長い分禁漁期間も長く、鮭同様、ヤマメの特性を踏まえた保護に力を入れてるわけだ。

NPO法人釧路湿原美術館蔵 湿原の画家「佐々木栄松」画伯 「湿原の老釣り師)

 

※実はヤマメはフシギな魚だ。孵化するとメスは大半が海へ下り、3~4年後にサクラマスと名を変え、母なる川に戻ってくる。「降海型」という魚なのだが、オスはそのまま川に留まる。だから、一人者の「やもめ」が「ヤマメ」の語源になったとも言われる。

 

サクラマスも鮭も、3~4年海を回遊して60cm以上に成熟。やがて命を次代に繋ぐため母なる川を目指し始める。上流へ、上流へ。体力を振り絞って遡上する姿には胸を打たれる。やがて浅瀬で産卵、受精。精魂使い果たした雌雄は、自らの役割を終える。

(画伯は“幻の魚いとう”を愛していた。絵はいとうの「ほっちゃれ」を感じさせる)

 

※使命を終えてボロボロになった鮭たちを、当地では「ほっちゃれ」(無駄なものの意?)という。鮭だけじゃない。疲れて元気のない人間にも使う。「子供の仕送りでもうほっちゃれだぁ」(子供の仕送りに疲れ果ててもうほっちゃれだぁ)

 

 

※しかし実は、ほっちゃれは、不要な廃棄物になるんじゃない。躯はキタキツネやカラスの餌となり、キタキツネやカラスの糞は、樹木を育てる養分となる。文字通り循環型(SDGs)の社会を、誰にも教得られることなく太古から実践してきたわけだ。

(ひと足先にエゾハルゼミが旅出った。左の羽が千切れ、まるでウクライナのようだ

※さて人間はどうか?「ほっちゃれ」の有用性を考えたことがあるか?効率ばかりを重視してこなかったか?効率優先は、格差を生み、格差は分断を産む。分断に走るロシアには鳥肌が立つ。恐怖と嫌悪が渦巻く。言葉を失う。プーチンよ聖書を読みなさい!

 

★去年は一度も釣りに行かなかった。一昨年、川の中で転倒し、脚に自信がなくなったためだ。今年は行きたいけど、足の不安がなぁ・・・

 

★絵は、阿寒町NPO法人釧路湿原美術館所蔵、湿原の画家[佐々木栄松」画伯の作品。NPO法人の美術館、というのは全国的にも珍しい!同館は画の展示だけでなく、いろいろな企画展イベントも実施してる。ぜひ覗いてほしい。エネルギーに圧倒される画だ。

https://www.shitsgenmuseum.sakura.ne.jp