【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

カラス語を解析できないものか?

ようやく“カラス戦争”が終結した。と言っても、別に和解に努力した訳じゃない。敵対関係にあった“ガー公”一族は、相変わらず当方を監視してるし、威嚇もする。まあ、アメリカとイランの関係と思ってもらえばいい。ただ、襲ってはこなくなったというだけだ。しかも厄介なことに、“ガー公”一族親子3羽、当家の周辺に居付いてしまったのである。一族は日中、近辺を我が物顔に闊歩する。花を啄んだり、道路を3羽で占領したり、人が近づいたりすると,誰彼となく威嚇する。放蕩無頼なのである。だがよく観察してるうちに、何だか彼らは会話を交わし、人間も馬鹿にした生活を愉しんでるようだと思い始めた。
例えば人が近づくと、少し離れたカー公(多分そいつが男親だ)が『ガオ、ガオ』と唸る。すると、小ぶりなカー子と、もう一羽は身構える。逃げる準備みたいだ。また、小ぶりなカー子は、親が何か餌を咥えると、甘ったれた声で『クー、クー』とせがむのが分る。さらに、夫婦は子に餌を与えた後『クエー、クエー』と絆を確かめ合うように嘴を開けてキスをするのである。これが驚いたことに“ガー公”一族だけじゃなく、他の家族にも当てはまる。
「もしかしたらカラス族は、結構複雑な言語を持ってるんじゃないか」。男親(らしきカー公)が発する『ガオ、ガオ』は、「危険が近づいたぞ、気をつけろ」。2回啼いたら「逃げろ!」。
3回啼いたら『逃げるだけじゃなく、戦え!襲え!」。『クー、クー』は、「ずるいよ、オレにも頂戴、早く、早く」。『クエー、クエー』は、「俺たち、教育うまくいってるなあ、子供も随分オトナになった」。そんな会話が、聞こえてくると言うか、見えてくるのだ。もしかしたら、カラスには、ザトウクジラのように人間の耳には聞こえない会話もあるのじゃないか?それを調べることができたら、北シベリアからアラスカに広がるワタリガラスの神話の秘密が解けたり、もっと上手にカラスと共存できる道が見つかるかもしれない。
夕方になると、湿原からカラス軍団が続々と帰投してくる。我が家の裏山に帰ってくるのだ。いつの間にか“ガー公”一族も何百羽の群れにまぎれて帰っていった。騒がしすぎるほどの会話ももうすぐ終わる。『今日も1日、お疲れさん!おやすみ、おやすみ』とも言ってるんだろうか?