【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

[環境・健康・癒し」 短調の鳴き声、タンチョウ来る!

中学校の校庭から、子供達の声よりひときわ高い声が聞こえる。「オッ、来た!」。外に出てみると校庭の中ほどをタンチョウが3羽、ゆっくり歩いてる。
5日ほど前から飛来してたが、なにぶん滞在時間が短い。雪が積もっていないので、まだ餌を蒔いていないのだ。おっとり刀でカメラを持って出る頃には、優雅な飛翔姿を見送るのみ、という日が続いていた。
今朝こそは撮ってやる!
60mほどの距離まで近づいて、とりあえず1枚!そこからゆっくり、ゆっくり前進する。嚇かさないように、に飛び立たれないように…。立ち止まっては、何枚かをカメラに収め、ついに30mまで接近した!
遠目には分らなかったが、頭の茶色い幼鳥もいる。一瞬、父親らしきタンチョウと目が合った…気がした。去年、ウチの庭をひと巡りして行った一家かもしれない。母親はあまり警戒する様子もなく、一本足で佇んでる。妙な親近感が湧いた。
だが接近はここまでだ。これ以上は彼らの野生を侵すことになる。最後の1枚を収めた。
「タンチョウは、声も短調だし見映えもいいけど、実は気性の激しい鳥でね」と移住組の隣のカメラマンは言う。「犬にもキツネにも襲い掛かって行くんだ」
そう言えば、一昨日の夕方、カメラに収めるには少し暗すぎたが、キタキツネと縄張り争いをやっていた。興味津々、遠巻きに近づこうとするキツネを、親鳥が羽を広げて威嚇する。幼鳥も尻馬に乗って小さな羽を広げて見せる。それは、傍目にはなかなかユーモラスな風景だったが、タンチョウにとっては必死の攻防だったに違いない。
釧路湿原のタンチョウは、昭和30年代初頭38羽にまで減少したという。それが、地元の農家や自然保護グループの努力で、近年千羽を越えるまでに回復した。あの広い釧路湿原でも、住宅難や食糧難が始まってるに違いない。もしかしたら、この親子は、移住組なのかもしれない。新天地と自由を求めてこんな住宅街にやってきたのかもしれない。
キタキツネに追い出されるわけには行かないのだ!
突然、東京を引き払った日のことを思い出した。何十年も暮らした土地を離れることには、それなりの感慨があった。
校庭のタンチョウほどの決意じゃなかったかもしれんが、阿寒や帯広にも友達ができた。東京の友人達も気を遣ってくれている。「ガンバレ、タンチョウ!二拠点生活だってあるのだぞ!」