【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

未来永劫名を残す!

町境のトンネルを抜けると阿寒だった。

ここは、北海道横断自動車道黒松内櫛路線 「本別IC⇔阿寒IC」の白糠町(しらぬかちょう)庶路(しょろ)トンネル(2,265m)。今年6月に阿寒側に貫通したばかりのまだ工事の熱気が残ってるような工事現場だ。
殆どはコンクリートの拭きつけ工事を終えたが、一部だけ水漏れ防止の厚いビニールシートが白く輝いてる。その建設現場を見学した。
2008年5月1日着工、完成は2011年3月25日の予定になってる。
トンネルの建設現場を見学するのは、開通4kmに迫った青函トンネルの切羽を訪れて以来、20数年ぶりである。
当時もトンネル堀の仕事は地球との戦争、予算との戦争と思っていたが、ここにも同じような構図があった。ただし、建設機械や設備を見ると、月とスッポン。
作業員の安全や健康、さらには環境負荷への対策が何重にも施されてる。防塵対策や排水浄化設備、防音設備など、まさに独立したプラントといっていいだろう。

よくこの現場近くの道路を通ったが、工事に当ってこれほど注意深い工夫が凝らされてるとは知らなかった。
特定建設工事事業体は、工事の概要から工法、各種設備の機能を丁寧に、まてに、説明してくれた。最後に貫通したトンネルを案内してくれる。
防水シートがむき出しになった場所まで来ると「今日の記念に防水シートに何か書いてください」という。「この上から最後にはコンクリートを厚く拭きかけますので、未来永劫に残ることになります」。
ちっぽけな人生だけど、未来に足跡が残るとすれば、こんなことしかないのかもしれない。
遠慮しながらチョッとだけ書かせてもらった。フシギなことにタイムマシンの乗員になったような気がした。

因みに、札幌と釧路を4時間半で結ぶというこの自動車道、全線供用される時期はまだ不透明だ。予算絡みの関係だから仕方ない。全線供用される頃には、自分はもう生きてないかもしれない。
国土建設には時間と金がかかる。現代の政治家達が100年の計を持てず、保身や自己利益に明け暮れするのは、哀しいことながら、当然ということなのかもしれない。