【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 食糧難!

12:00過ぎ。「キキちゃん」は現れた。毎日大体同じ時間に裏山を巡回パトロールに来るキタキツネのことだ。テリトリーを確認し、木々に尿でマーキングしていくのが日課となってる。
だが、今日は雪の下に何かを見つけたようだ。盛んに雪をほじくっては、固そうなものを食べてる。もしかしたらカラスの屍骸なのかもしれない。少し黒いものが見える。

写真を撮り始めたのだが、食べるのに夢中でこちらに気がつかない。どうやら相当腹を空かしてるようだ。
もしかしたら「キキちゃん」も食糧難に遭遇してるのかもしれない!いや、多分そうに違いない。何しろ野生は冬、食料に事欠く。
だが、野生動物の食糧難を可愛そうがっちゃいられない。人類もまた、食料においては“冬の時代”だ。一昨年、現実味を帯びた世界の食糧難が、またジワリと押し寄せてる。
豪雨、旱魃バイオエタノールへの転換、そして人災とも言うべき金余りの投機筋・・・。
エジプトのムバラク政権崩壊の一因には、食料の高騰があったとも聞く。少なくとも投機的な動きだけでも抑えられないものか・・。
「キキちゃん」は、ようやくこちらに気がついた。ファインダー越しに目線が合って、ドキッとした。
何だか物を言いたそうな哀しい瞳をしてる。その瞳は、もしかしたら何十年後かの人類の瞳かもしれない・・。
そんな気がしたのは、感傷的に過ぎるだろうか。
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