【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 「お宅の肉ジャガの“肉”は?」

※もう20数年に亘って仲間内で続いてる論争がある。テーマは「肉ジャガの肉は牛か?豚か?」。老いも若きも、会社近くのスタンドバーで何かと言うとこの永遠のテーマを肴にして一献飲っていた。実は現在も論争中、結論は出てないのである。
※「そりゃあ、牛でしょう。ともかくウチは牛だった」。「でもね、料理番組のレシピは殆ど豚だぜ、牛は見たことない」。「そうそう、女房に聞いたら、彼女の実家も豚だったと言ってた」。「奥さんの実家って何処なの?」。こんな風に延々と続くのである。
※論戦の黎明期、口を挟んできたデザイナーがいた。奥さんは元管理栄養士。「ウチは鳥のソボロだ」。瞬間、皆がそっぽを向いた。「肉は牛か?豚か?」がテーマである。ソボロが割り込む余地はなかった。以来、彼は一切論争に加われなくなった。

(軍艦の調理場では火が使えない。蒸気を利用してジャガイモを煮崩れさせないためにコンニャクの使用が考え出された)
※「肉と言えば牛のことだ。豚は肉とは言わない!豚はトンだ」。祖父母が京都出身の代表取締役が薀蓄をひけらかす。すると若手が反論する。「牛を食べるようになったのは長野じゃ最近です。肉は鳥か豚と決まってました。あ、サクラもあったかな…」
※こんな調子で10年も続いてた頃、岡山出身の女子コピーライターが言った。「昨日の番組で肉ジャガのルーツが分りました。帝国海軍の江田島らしいです。江田島では牛を使ったレシピが残されてたそうです」。「じゃぁ、豚にしたのは誰だっ?」
※この後も論争は続いた。が、一応の中間まとめとして●西日本じゃ牛、東日本は豚が多い。●豚肉の使用は、料理研究家の「江上トミ」がNHKの料理番組で安い豚肉を使ったのが広まったらしい…というところまで辿り着いた。確かに豚肉のほうが当時から安かった。
※先日「肉ジャガ海軍レシピ」を紹介する番組があった。実は、番組を観たから25年論争を思い出したのだが・・・「海軍レシピの肉ジャガ」をつくってみた。ジャガイモを煮崩れさせないために、コンニャクを同時に入れるのがポイントだという。
※なるほど、美味いっ!確かに煮崩れはなかった。ただ、豚派のウチじゃ、肉は牛じゃなく、豚。レシピにないニンジンも入れた。話は違うが、集団的自衛権行使容認(平和憲法廃棄)には“肉ジャガ”論争のような、長〜い議論が必要なんだろうな〜、ABクンッ!