【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

雑草テツガク

連日「地縛り草」の駆除が続いてる。これで4日目。だが、掘り起しが完了したのは、わずかに6坪に過ぎない。かかった時間10時間。今日はことに難航した。わずか1平方メートルで、何と写真にある鳥の巣のような量の地下茎を引きずりだした。その量に我ながら圧倒される。
「スゲエなあ、手仕事でやっちまった。アメリカ人なら間違いなく重機でやるんだろうなあ」。
この作業を始めてから癖になってしまった独り会話が、頭の中で始まる。
「大体、農耕民族は人力が主な力の元だ。だから、人力の限界っちゅうモノ、肉体の限度っちゅうものを知ってる。けど、騎馬民族は馬や牛の力を利用することばかり考えてきた。その結果が、機械に頼る方向を選んだ。機械の限界は人間ほど微妙じゃない。疲れだって知らん」。
少しテツガク的になる。「っちゅうことは、農耕民族と騎馬民族じゃ時間の経ち方が違うんじゃないか?」。
相当深くテツガクしてる。「コイツ、この草も人間とは時間の経ち方が違うんだろうなあ」。
カラダはすっかりお休みモードに入ってしまった。
「何だか無駄な作業をやってるんじゃないか?このままにしといていいんじゃないか?そうそう、このままにしといたって、人生な〜んも変わりゃしない。世の中だって影響ナシだ!」。
どうやら瞑想状態に入ったようだぞ。
「今までコイツが悪者だって思ってたけど、コイツの何が悪いんだろう?そりゃ、コイツは悪相だ。自らの繁殖のために、自らの利益のために、あらゆる生き物に敵意を持って立ち向かってる。こんな嫌なやつはいない!」。
おやおや瞑想は、迷走状態になってきたぞ。
「けど、コイツにしてみりゃ、自分を嫌うオレに、同じ想いを持ってるだろう。
何しろ、自分の生命を脅かす存在が、飯沼勇一っちゅう、ロクでもないヤツだ。畑仕事なんかやったことのないコイツにだけは、掘られたくない!
もっとも植物に寿命は無い。古代赤米がいい例だ。二千年たっても田植えをしたら、芽を出したじゃないか!」。
「ビッ、ビー!!」突然警笛が鳴った。
迷走は終わった。それにしても畑作業は今まで見過ごしてきたものを、教えてくれる。テツガク的にしてくれる。
金融関係の作業じゃこうはいかんだろう。