【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 雌阿寒岳(めあかんだけ)噴火!

コピーライターの大先輩を送った帰りの国道241号線。フロントガラスに雌阿寒岳がクッキリと浮かんでいる。まるで氷山が青い空に漂っているような、この時期にしか見られない神秘的な光景だ。だがいつもと違う。何かヘンだ。「もしかしたら…」帰宅して早速夕刊を見ると『雌阿寒岳小噴火』の見出しが躍っていた。「やっぱりなあ!」
記事は「18日午後、釧路市白糠町(しらぬかちょう)、足寄町(あしょろちょう)にまたがる雌阿寒岳(1,499m)で、『ごく小さな噴火が発生したもようだ』と発表があった」ことを伝えていた。「白色の噴煙が東に流れており、今後も小さな噴火が繰り返し発生、場合によっては火口から500mの範囲で大きな噴石が飛ぶ可能性がある」。
何かヘンだ、と感じたのはこの東に流れる噴煙だったのだ。
実は、15日から大先輩を道東の小旅行に案内していた。阿寒湖→硫黄山川湯温泉摩周湖→釧路周辺を回り17日に阿寒へ帰ったばかりだった。阿寒湖畔ではアイヌコタンを、硫黄山では冷たい風の中、凄まじい硫黄の噴煙に地球の胎動を体験した。川湯温泉では、源泉かけ流しPH1.9(釘が一週間ほどで溶けてしまう)強酸性硫黄泉の温泉効果を十二分に味わった。
だが、その間、天気はイマイチ、小雨まじりでスッキリしない。「せめて摩周湖はスッキリした姿を見せてあげたい」との願いもかなわず、いつもどおり霧の中!。「雨もいいじゃないか!」と空元気を出す大先輩だが、自嘲気味に「日頃の行いが…」と言ったりもした。
祈りが天に通じたのだろうか、最終日は晴れた!冠雪の雌阿寒がこの時期にしては強い日差しに輝いてる。「終りよければ全て良し!」大先輩はそれなりの満足の表情で機上の人となった。
「雌阿寒の噴火が昨日でなくてよかった」。少しホッとした。と同時に多少の不安も出てくる。「大事にならなければいいのだが」。こんなことで有名になるのはゴメンだ!窓から雌阿寒を覗いてみる。確かに噴煙らしきものが東に流れてる。
見ているうちに大きな溜息が出た。「しかしなあ、地球はデッカイ!人間はチッポケだ!結局天変地異とも共存してくしかないんだろうなあ」アイヌの生き方に改めて想いが飛ぶ。
隣で雌阿寒を見てた相方がポツンと言った。「私が噴火するともっと怖いよ…」いやあ、クワバラ、クワバラ!