【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

天体ショー


今年7月22日、日本列島は大騒ぎだった。ことに、トカラ列島喜界島では島を挙げての歓迎に沸きかえった。
そう、日本領土で48年ぶりに見られる皆既日食だった。覚えてる人も多いだろう。
マスコミと天文少年たちのフィーバー振りは凄かった。太平洋上には、皆既日食観測ツアーのクルーズが組まれたりした。残念ながら、雲が邪魔して観測はあまり芳しくなかったが、こうした天体ショーは人類史上、最もロングランを続ける興業と言っても過言じゃあるまい。
今日から2〜3日間も天体ショーがある。コチラはふたご座流星群によるショーだ。小惑星フェアトンが彗星時代に振りまいた塵が地球に雨のように降り注ぐ現象で、毎年12月中旬頃の定期公演となってる。
今年の天気はどうか、天文少年ならずとも気になるところだ。
だが、天体ショーは何も宇宙に馳せずとも存在する。「夕焼け」などという現象もそのひとつだ。
ある時間から雲がかすかに色着き始め、5分後には中空が茜色に染まり、紅蓮の炎が空の底から燃えあがる。刻々と変化する光のショーは、やがて赤黒くくすんだマグマのように闇の中に没して、幕が下りる。
この現象は、毎日見られるわけじゃない。絶妙な空気や太陽とのバランスが欠かせない。それでも、チョッと気がつけば、都会でもどこでも、比較的簡単にチケットが手に入る光のショーだ。

地球を舞台にした荘厳な演出に息を飲む。言葉をなくす。人間とはどこから来て、どこへ行くのか、そんな根源的な疑問を自問自答してみる・・・。
いま、いやこれから我々人間は、そうした時間が必要なのじゃないだろうか。
実は、そういう目で見れば、周囲には天体ショーの舞台がゴロゴロしてる。問題なのは、我々がそれにまったく気づいてない、もしくは、気づきに目をつむろうとしてることじゃないだろうか。