【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

北緯43度美術館

かつて♪ミュンヘン、札幌、ミルウォーキー♪というコマーシャルが列島を席巻したことがあった。
「美味いビールの産地は、北緯43度線近くに位置する」というもので、「ミュンヘン然り、ミルウォーキー然り、札幌然り」というわけである。サッポロビールのCMだった。
このCMには少しまやかしがある。ミルウォーキーと札幌は確かに北緯43度線上だが、ミュンヘンは北緯49度、稚内の北、サハリンに位置する。
ま、それはそれとして北緯43度には、ワインのブルゴーニュ地方、モナコ公国、ナイアガラの滝やカナダ最大の都市トロントなどが位置し、ボストンも近い。日本では札幌、帯広、釧路がそうだ。
さて、ここで質問です。「北緯43度線上の地域や都市を色分けすると、北海道は何色ですか?」エッ、寒色系の青?「じゃあ、モナコ公国は?」そうですかぁ、やっぱり暖色系のオレンジですかぁ。

「同じ北緯43度上に生活してても、地域によって気候が違う、暮らしかたも違う、宗教も思想も文化も違う」
それを目の前に並べ、実感してもらってはどうだろう?というわけで、「北緯43度美術館」は建てられた。
ウチから北へ3.7km、車で4分ほどのところである。
“北緯43度の感性”と銘打ったこの美術館には、日本の画家を始め、アメリカ、スペイン、イタリア、モンゴル、フランス、中国など、北緯43度線が通っている国のさまざまなアートが展示されてる。

田舎とバカにするなかれ、A・ウォーホル、ミロ、ダリ、グレコ、ツルテム、呉作人、扇谷章二など、意外な画家達の作品が展示されており、確かに主催者の狙いどおりアートを通しながら地球、それも43度線をはっきり実感することができる。だが残念ながら入館者は少ないようだ。
ハコモノ、しかも冬場は休館・・・。とかくいろいろ批判はあるだのだろうがコンセプトやよし、折角の北の大地の美術館、人集めのアイディアはないものか・・・。