【スローライフ阿寒】

自然の中に置かれると人は何を、どう、考えるのか、ゆっくり対話しながら生きたい

 “森の人”!

阿寒シェル鉱山よりさらに奥深く、その人は棲んでいる。自ら“森の人”と名乗ってる。森の人である限り、白髪三千丈、霞を食べて生きる仙人、禁欲的で厳格、何より解脱してなくっちゃならない。

だが、この森の人は厳格・解脱というより柔和な笑顔とサービス精神が特徴だ。人をおおらかな気分にしてくれる。
森の人は埼玉からやって来た。阿寒の森が気に入って、この地に住み付いた。そして、たった一人で山奥に“森の家”を建てちゃったのである。絶景を一望するテラスがあり、大きなチーテーブルもある。水は近くの沢から引いてきており、天空を独り占めできる露天風呂もつくっちゃった。やはり、森の人というにふさわしい。

森の人にはよき理解者、森の婦人が居る。森の隣人たちも沢山居る。ヒグマやキタキツネ、エゾシカやスズメチ・・・。数えればきりがないという。こうした隣人達と共に暮らしていくのが、森の人及び森の婦人の歓びのようである。
だが、かと言って自然保護原理主義者じゃない。家の中にはパソコンが3台並び、LEDが光ってる。BSパラボラアンテナだって立ってる。ウォッシュレットのトイレだってあるのだ。(冬は凍るので使えないらしい)

森の人は、現代のテクノロジーも使いこなしてる。「森のバザール」という道東の特産、名産を集めたネットショップの運営がそれだ。グーグルで検索するとトップ近くにURLが出てくる。これも森の人の生活哲学の延長線上にある。
友人は森の人のサイトとは知らずに「森のバザール」からホワイトコーンを買ったという。
「世の中狭いなぁ、それにしても羨ましい。時間をたっぷり持ってる暮らし方だ」

だが、やはり冬はきっと想像を絶する寒さに違いない!ストーブをいくらガンガン焚いたとしても、寒がりの自分には暮らしちゃいけないだろう。森の人は、それでもこの暮らしがいいのだと言う。
「生きる」ということを考えさせられる。考えた挙句、「森の人は、カラダがデカイだけじゃなく、構想も器も自分より遥かにデッカイのだ」と納得する。